暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
キャスター対策会議
[11/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ンサーにかぶせていた予備ヘルメットを受け取り、シート下の収納に仕舞う。
 サーヴァントにヘルメット必要なのかとも思うが、そこは交通ルールとしてだ。

 フルフェイスのヘルメットを脱ぎ、ちゃんと顔を合わせて挨拶を交わす。

「商店街は人通りも多いし有り得ないとは思うが、一応完全に陽が暮れる前には帰る」

 そう言うと、フェンサーが唐突にふわっと顔を寄せてきて────



「ええ、帰りをお待ちしていますわ。旦那様?」



 ────そんなことを、とても綺麗な笑顔で言われた。
 今更またコイツとんでもねー美人だなとか、仕草がすげー可愛いなとか、セリフにときめいちまったりしたのが超絶恥ずかしい。

 無意識に顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。

 多分夕暮れの赤色で誤魔化せていると思いたい。

「……じゃあ、また後でな」

 無愛想気味に別れを告げ、ヘルメットをかぶりなおしてバイクを発進させた。

 未だに胸がキュンキュンしているが、騙されてはいけない。
 あれは途轍もないワガママ娘で、急に肘鉄入れてきたりプロレスに応戦したりする女だぞ!

 しかしああいうのをギャップに萌える、というのだろうか。
 普段の素振りからは想像できない一面が逆に魅力的である、とよく言われる類の。

 キッと凛々しい表情、優しく柔和な笑顔、理知的な会話、子供っぽい言動。

 端的に言うならば無邪気さ、と表現するのが相応だと思う。

 夢の青年も、彼女のそんなところが好きだったのだろうか。
 そもそもフェンサーと彼は恋人だったのか、結婚とかしていたんだろうかと。
 普段は考えないフェンサーの人となりや人生について、よくない興味が向いてしまう。



 誰かを知りたいと思うと、まずその人の過去について興味が向く。
 現在の彼・彼女を形成しているのは過去にあるのだから、それは当然とも言えるのだが。

 他者の過去を知ることはその人を知ることと同義────そんなものは、反吐が出るような妄想に過ぎない。

 知ることと理解することは別物だ。

 本当に想うのなら、過去など関係なくその人と向き合うことが大切だ。
 知りたいが為に過去を覗きたがるのと、理解する為に過去を知るのは全く違う。



 知りたがることを悪いこととは思わないが、俺としてはあまり好ましくない傾向だ。
 人の過去など興味本位で覗くものではないし、それは親しい間柄の相手でも同様だ。

 特にフェンサーについては、つい最近決めたことがあっただろう。

 彼女の事が気になるなら、彼女に直接問う。
 もしかしたらあっさりと色々話してくれるかもしれないし、逆に受け止めきれないような半生を語り出すかもしれない。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ