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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十五話 狂花は散りて……
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七枷の郷に更に破壊の爪痕を刻んだ。閃光によって地上に穿たれた破壊の跡に紫がうつ伏せで倒れていた。被っていたナイトキャップは攻撃で飛ばされたのか失くなっており綺麗だった金色の髪は埃にまみれ身に着けていたドレスはボロボロになっている。
 そんな紫にこの破壊を行った張本人である幽香が歩み寄り、無造作に倒れている紫の頭を踏みつけた。

「……邪魔を…邪魔をするんじゃないわよ……私の邪魔をするんじゃないわよ!!!!」

 幽香は怒りの形相でそんな風に叫び声を上げ紫の頭を足で地面に力任せに押し付けると、紫の口からは小さく苦悶の声が出る。幽香はその声を聞くと踏み付けるのを止め、右手で紫の髪を掴み上げ無理矢理自分の目線に合わせた。そして左手に極彩色の輝きを纏わせると紫の首筋目掛け振り抜こうとした時、幽香の頭に何かが直撃する。
 幽香が視線を動かすと足元に恐らく今自分の頭に当たったであろう物が転がっていた。それは拳大程の石、そして更に飛んで来たであろう方向に視線を動かせば、少し離れた場所に一人の人間が石を投擲した格好のまま固まっていた。その表情は恐怖を中心に複雑になっているがその人間、秀介は震えながらも言い放った。

「こ…こ、この!…ゆ、ゆかか、紫様を、を、放せ!!」

 声は振るえ膝は笑い目には恐怖で涙さえ見える、見ていて無様だと言われても仕方がない。それでも無様でも愚かでも非力でも阿呆と罵られようと人間らしい行動を彼は取っていた。
 物心付く前から面倒を見てもらっている紫は彼にとっては家族と遜色無い相手だ。そんな人が傷を負い殺されかけている時に怯えていられる訳が無かったのだ。心の何処かに殺されるぞ、と叫ぶ自分の声が聞こえたがそんな事は気にしていられなかった。ただ身体が動いたのだ、理屈じゃなく。
 幽香は震えながらも自分を強く睨み付けてくる秀介の姿に苛立ちを覚え、掴んでいた紫を無造作に投げ捨てると、

「……どいつもこいつも!私の邪魔をするんじゃないわよ!!!」

 幽香がそんな雄叫びを上げるとそれに呼応する様に妖気があふれ出し、そして幽香の右手首にはめられている金色の輪が怪しい光を放つ。放出された妖気に当てられたのか秀介がその場にへたり込むと幽香が秀介目掛けて疾駆する。
 そして幽香の爪が秀介の頭を貫こうとした瞬間、突如地面から突き出た石の槍が幽香の腹部を貫いた。

「…は?あ!がはっ!!な、何が!!」

 自分を貫いた石の槍を掴みながら幽香は苦悶の表情で吐血する。

(うち)の子達と郷に何してくれてるのかな?」

 そんな事を言いながら諏訪子が現れ、秀介を庇うように幽香の前に立つ。幽香の背後では神奈子が空から降り立ち紫を抱き起こしている。

「……遅い…わよ……」

「すまないね、避難と結界を張るのに手間
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