嵐の前の静けさ編
ターン1 鉄砲水と伝説のHERO
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果は攻撃力も相まってかなり強い。やれやれ、このセットカードがポセイドン・ウェーブだったら………いや、現実を見よう。このカードは、何かの役に立つかと思ってセットした速攻魔法、サイクロンだ。それ以外の何物でもない。
E・HERO ワイルドジャギーマン 攻2600
「ワイルドジャギーマンは、1ターンに相手モンスター全てに攻撃ができる!だから、もしその伏せカードで攻撃を無効にしても意味ないぜ!白銀のスナイパーに攻撃、インフィニティ・エッジ・スライサー!」
…………これがサイクロンなのは黙っとこうかな。なんかちょっと悔しいし。
E・HERO ワイルドジャギーマン 攻2600→白銀のスナイパー 攻1500(破壊)
清明 LP100→0
「かーっ、負けたかぁ……」
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
いつも通り、びしっと満面の笑みでこちらに向かってポーズをとる十代を見ながら墓地のカードを引っ張り出してデッキに戻す。あとはシャッフルして、と。よし、これでバッチリだ。
「うん、まあ、僕も楽しかったよ。結局勝てなかったけどね」
「そりゃあなんてったって、俺は未来のデュエルキングになる男だからな。そう簡単に負けるわけにはいかないぜ」
『なーに他人事みたいに黄昏てんだ。お前もまるっきり変わってねーよ』
「おお、俺もそう思うぜ。お前もなるんだろ?デュエルキングにさ」
うーん、そうか、僕も変わってはいないのかな。これはどこかで聞いた話だけど、人は大抵、成長する中で大切なものを捨てちまうらしい。
なら、変わってないってことは裏を返せばその大切なものを捨ててないってことなんだろう。まあ、それなら別に悪いことじゃないのかなって思う。
と、その時、ヒューっとレッド寮に爽やかな風が吹いた。ああ、今日も気持ちのいい天気だ。それじゃあ、また原稿を考える作業に戻ろうかな。
「へ、何言ってんだ?今年のレッド寮に新入生は来ないって掲示板に張ってあったぞ?」
「えっ」
『あーあ、ばらしちまったか』
ギギギギギ、と音が出そうになるほどゆっくりと、ユーノのいる方を振り向く。こーっそりと忍び足でどこかに逃げようとする彼の後ろ姿が見えた。
「なんで教えてくんないのさー!」
『んなもん確認しないお前が悪いわ!』
ユーノを追いかけて、どたばたと走り回る。それを、十代が笑いながら見ていた。去年がおかしかっただけで、これが本来の日常なんだろう。それはそれで、ちょっと残念な気もする。命どころか魂まで賭けた闇のデュエルなんてもうこりごりなのは当然なのに、なんでそう思ったりするんだろうか。あるいはそれも、うちの神様のせいなのかもしれない。
『なんでもかんでも私に押し付けないように』
あ
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