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八条学園怪異譚
第五十九話 時計塔の話その十四
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いうのだ。
「所謂良妻賢母ね」
「そう言われると嬉しいですね」
 お母さんと言われることにはまだ抵抗があってもだ、その言い方ならばまんざらでもない愛実だった。その呼び方ならだ。
「それなら」
「そうでしょ。とにかく愛実ちゃんはね」 
 彼女はというのだ。
「聖花ちゃんと一緒に頑張ってね」
「これからもですね」
「泉を見つけてもね。人生長いから」
「良妻賢母ですか」
「そう、楽しく精進していってね」
 精進は精進でもだというのだ、こうした話をしてだった。
 茉莉也はにこりと笑ってそのうえであらためて二人に言った。
「泉に入って何処に行くか、教えてね」
「すき焼きを食べながらですね」
「その時にですね」
「そう、楽しみにしてるからね」
「わかりました、それじゃあ時計塔に行って」
「帰って来て」
「何なら私のお布団の中でお話してもいいわよ」
 ここでこう言うのが茉莉也だった、今までよりも上機嫌でにこにことして話す。
「三人で仲良くね」
「そこでそう仰るのが先輩ですね」
「本当に」
 その茉莉也ににやれやれといった顔で笑う二人だった、そしてその中で時計塔に向かうことを決意するのだった。


第五十九話   完


                             2013・12・2
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