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八条学園怪異譚
第五十八話 地下迷宮その二

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「それならな」
「はい、ですから」
「大丈夫です」
「人それぞれじゃな」
 博士は二人の言葉についてしみじみと言った。
「すぐに寝られることは有り難いことじゃ」
「そしてすぐに起きられることはですね」
「有り難いですね」
「その通りじゃ、わしもな」
「そういえば博士ってどんな感じですか?」
「どうして寝られていますか?」
「うむ、大体七時間じゃ」
 それ位寝ているというのだ。
「とはいっても四時間でもな」
「大丈夫ですか」
「それ位でも」
「あまり寝ずともやっていける」
 そうだというのだ。
「別にな」
「そうなんですね」
「特になんですね」
「ただ徹夜はしない」
 それはないというのだ。
「身体に悪いからのう」
「そうですね、徹夜はですね」
「しないに限りますね」
 二人も徹夜についてはこうした考えだ、徹夜がどれだけ身体に悪いかどうかはよく知っているのだ。
「後できますし」
「それはしない方が」
「よい」
 博士も断言する。
「わしは絶対にそれはしない」
「ですね。とにかく私達はです」
「すぐに寝て起きられます」
「休み時間でもちょっとした間でも」
「寝られますんで」
「ならよい」
 身体に負担がかかっていないならというのだ。
「だからこれまで泉を探せたのじゃな」
「そうですね、夜遅くなっても」
「それでも」
 二人共朝は早い、特に家がパン屋である聖花は。しかしそれでも二人の身体がもっているのはそうした理由があるのだ。
「寝てますから」
「普通に」
「睡眠は長寿の秘訣じゃよ」
 適度なそれはだというのだ。
「よく一日二時間三時間して寝ないという御仁がおるが」
「それもですね」
「よくないですね」
「君達はもっと寝ておるからよい」
 二時間三時間ではないからだというのだ。
「それ位しか寝ておらんとな、何かちょっとしたことで身体を壊すとそれから一気にくる」
「身体の疲れが溜まってるからですね」
「ガタがきてるんですね」
「そうじゃ、毎日それじゃとな」
 とてもだというのだ。
「身体が壊れる、注意せんとのう」
「僕達もよく寝るしね」
「そうしてるからね」
 送り犬と猫又が言ってきた。
「犬や猫だからね」
「よく寝てるよ」
「だから今も健康だし」
「妖怪になってもね」
「人間は犬や猫よりは寝ずともよいがな」
 それでもだというのだ。
「寝る方がよい」
「そういうことですね」
「何時でも」
「そうじゃ、わしも研究室で寝ることがある」
 今いるこの部屋でだというのだ。
「実は布団もあるのじゃよ」
「じゃあ下に敷きものをしてですか」
「その上にお布団を敷いて」
「そうして寝ておる」 
 二人にそのことも話した博士だった。
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