明日美さん強化編
汗を流して、明日を見つめるの
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嫌がる明日美さんを無理やり引き連れて近くのゲームセンターに向かう。
なぜゲームセンターかって言うと、ぶっちゃけ思いつかないから。
この年代の女の子の趣味なんて、正直想像もつかない。
お姉ちゃんがアニメを見たりしていたから、アニメでいいかとも思うんだけど
この時間帯にやってるようなアニメなんて、特にないからどうしようもない。
まあ、私も明日美さんも囲碁漬けの人生を送ることを選ぶ身だから、
アニメなんて見てるかどうかも微妙。 なら、いっそゲームの方がいい。
で、気軽にゲームが出来る場所。
そんなことを考えると、候補はゲームセンターしかなかったのだ。
一度来て、こうして見ると独特の雰囲気がある場所だと思う。
迫り来る相手を倒すべく、一見して意味のないような動きで牽制しつつ
1フレームごとの攻防を繰り広げる格ゲープレイヤーたちや
CPUに勝つべく、画面上でどう見ても人間技に見えない動きを行いながら
的確な判断で勝負を続けていくパズルゲーマー、
大量の敵弾をまるですり抜けるように突破しながら敵を倒していくシューター。
そのどれもが食い入るように画面を見つめ、
そしてその全てが、勝ちたいという意思をギラギラさせた……
そう、勝負師の瞳をしていた。
それを見て、ここに来てよかったと思う。
この雰囲気の中で、彼女が何か感じてくれればそれでいい。
「さ、遊びましょう!」
そう言いながら遊べそうなゲームを探す。
明日美さんに良さそうなのは、クレーンゲームかメダルゲームくらいかな……。
他は皆、レベルの高い攻防を繰り広げていたり、ルールを知らなかったり。
しかし、そんな中に一つだけ、ちょうどいいものがひっそりと佇んでいた。
ダンスダンスレボリューション。
確かこの時期流行していた気がする、ダンスゲーム。
流行りのゲームのはずなのに、何故か人は明日美さんくらいの年の少女1人だけ。
その少女がたまにミスしながらも、楽しそうに踊る姿がまるで後光が差しているようで。
気づけば、二人して見入っていた。 画面ではなく、その少女に。
3曲目が終わり、彼女が後ろを振り向く。
決して綺麗な子ではなかったけれど、笑顔がとても眩しかった。
「やる?」
その子が、私達に聞いてくる。
なんだか、彼女の後でやるのは後ろ髪を引かれるような気がするけど。
でも。
「……やろうよ、明日美さん」
二人でおずおずと台の上に乗って、100円を2枚投入する。
私のぶんと、明日美さんのぶん。
そして台の上に立って、ボタンを押そうとするけど背が足りない。
だから、明日美さんに協力してもらって。
踊ろう。 悲しいこと、辛いこと…… 何もかも忘れて。
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