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Dragon Quest 1 ハルカ・クロニクル外伝 少女アイリンの物語
<少女アイリンの物語>
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前にべちゃりと落ちてしまいました。
「あ……ケーキ……」
せっかく作った大きなケーキ。練習して上手くいきかけたケーキ。
大好きなお父さんとお母さんのために心を込めたはずのケーキ。
それが……一瞬で…………。
「う…………うわああああああんっ!!」
私は大声で泣きました。もう時間が無い。お父さんとお母さんにプレゼントできない……!
「ど、どうしたの!?アイリン!」
駆けつけたのはお母さんでした。
「あ……おかあさん……ひぐっ……おとうさんと……おかあさんの……為の……ケーキが……」
「まあ……アイリン……大丈夫?泣かないで。私は嬉しいわ。あなたが私やハルカのことを想ってくれた……それだけで嬉しいのよ。さあ、お風呂にはいってらっしゃい」
お母さんは優しい笑顔で私の頭をなでてくれました。
「お母さん……」
「ハルカもあなたが頑張ったと知ったら喜んでくれるわ。心配しないで」
「うん」
「ローラ王妃様、アイリン王女様と一緒にお風呂場へ。後は私たちにお任せください」
後で駆けつけたメイドさん達や兵士さんたちが私たちを見てうなずきました。
「ええ。行きましょう」
「うん。ごめんね、お母さん」
「いいのよ」
私は粉とクリームを浴びた体でお母さんと一緒にお風呂に入りました。

お風呂上り。私は新しいドレスに着替えました。
その時、お兄ちゃんたちに会いました。
「あ、お兄ちゃん達……」
「言わなくていいよ、アイリン。そうだ、オレ達の作品、まだ未完成なんだ。時間無いのにな。あのさ、手伝ってくれないか?」
「僕からも……お願いできるかな」
「うん!手伝う!」
「あ、アイリン笑ったぜ!」
「お父さん言ってたな……。アイリンの笑顔はお母さんにそっくりだって」
アーサー兄ちゃんの言葉に私は少し照れました。嬉しかったです。
「よし、間に合わせるぞ!」
「おー!」

そして式典が行われました。
私はお兄ちゃんたちと一緒に色紙やスパンコールを使って、お父さんとお母さんの大きな似顔絵を作りました。
下絵はアーサー兄ちゃん作で、上手でした。それを上から糊で貼っていくのです。汚れないように気をつけながら。
「おや、これは凄いね。ローラ」
「ええ。子供たちの合作なのよ」
「ありがとう、レイヤ王子、アーサー王子、アイリン王女。僕達は嬉しいよ」
レイヤ兄ちゃんは誇らしげに胸を張り、アーサーは照れくさそうに少し下を向いて微笑してました。私は少し泣きながら、笑ってました。
お兄ちゃんたちは私に向かってウィンクしてくれました。私も微笑みで返しました。
お父さんとお母さんは喜んでくれました。
ケーキ作りは失敗したけれど、お父さんとお母さんの結婚記念日式典は大成功でした。

「アイリン」
お父さんが話しかけてきました。

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