第35話。使徒の殺意。
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けるだけ。何も生まない。・・いや、悲しみだけを生む存在。
気持ちが悪い。ドロドロとした、煉獄の炎のように、深く、黒い感情が渦巻く。
他人をここまで嫌悪したのは初めてだ。当たり前か、俺は今までここまでの外道に会ったことがない。
フッ、過去、利権が絡んだ様々な問題で、利己的で嫌な奴もたっぷり見てきたつもりだったが、なんだかんだ言って平和な日本人だったというわけか
「なるほど、よくわかった。貴様がどういう存在なのか、そして、俺のやるべきことが」
今まで、死徒を殺るときに、『殺す感覚』はなかった。使徒としての使命感が全面出ていて、受動的・作業的であったといえよう。
俺は今、初めて、害意と敵意を持って、死徒を殺す。
恐怖が溢れる。殺すという行為に。それを押しつぶすような殺意が湧く。その殺意に突き動かされる。殺すと言う行為を
そうか、これがモノを殺すっていうことか。怖いな、とても怖いことなんだな、志貴。
血の気が引く。冷たい。なんて冷たい感情なんだろう。アルを想う感情とは正反対の感情。
しかし、それに負けないほどの激情。他者に対する激しい想い。
煉獄の意志と共に告げられるは、断罪の執行宣告。
「テトラクテュス・グラマトン!!」
銀色の光が走る。右腕を光が覆う。光が晴れる。右手は完全に治された。
「なっ!?なんだと?術式も詠唱も無しに!?ただ魔力で覆うだけで!?なんだその魔力はぁああああ!!」
ロアの顔には先程の余裕はなくなる。
ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。
あれほどの魔力を身に宿し、平然といられるなんてありえない。なぜなら分かるはずだ。感じているはずだ。
自分が『高み』であると、自分が『頂点』であると、自分が誰よりも優れていると―――――
人間なんぞ、死徒なんぞ、真祖なんぞ、虫ケラ以下であると――――
銀の光の先に、使徒の、晋吾の眼が見える。黒い眼が、真っ直ぐこちらを見ている。―――煉獄の殺意を持って―――
「ひぃいいっ!」
恐怖と共に手をかざし雷を放つ。倒すための攻撃ではない。所詮、負け犬の威嚇と同じであった。
「ッ!」
晋吾も前方に手をかざす。銀色の靄が漂う。雷はそれに触れるだけで消え去る。靄が晴れる。再び眼が見える。
「お前を・・・・殺す」
声が響く。ロアの顔が恐怖に染まる。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。
ロアは逃げ出す。逃げられないと思いながら。アレと対峙することから逃げ出した。
晋吾は銀色の魔力を練り上げる。
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