暁 〜小説投稿サイト〜
こんなチートでもありですかい?そうですかい。
第35話。使徒の殺意。
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
けるだけ。何も生まない。・・いや、悲しみだけを生む存在。

気持ちが悪い。ドロドロとした、煉獄の炎のように、深く、黒い感情が渦巻く。

他人をここまで嫌悪したのは初めてだ。当たり前か、俺は今までここまでの外道に会ったことがない。

フッ、過去、利権が絡んだ様々な問題で、利己的で嫌な奴もたっぷり見てきたつもりだったが、なんだかんだ言って平和な日本人だったというわけか

「なるほど、よくわかった。貴様がどういう存在なのか、そして、俺のやるべきことが」

今まで、死徒を殺るときに、『殺す感覚』はなかった。使徒としての使命感が全面出ていて、受動的・作業的であったといえよう。

俺は今、初めて、害意と敵意を持って、死徒を殺す。

恐怖が溢れる。殺すという行為に。それを押しつぶすような殺意が湧く。その殺意に突き動かされる。殺すと言う行為を

そうか、これがモノを殺すっていうことか。怖いな、とても怖いことなんだな、志貴。

血の気が引く。冷たい。なんて冷たい感情なんだろう。アルを想う感情とは正反対の感情。

しかし、それに負けないほどの激情。他者に対する激しい想い。

煉獄の意志と共に告げられるは、断罪の執行宣告。



「テトラクテュス・グラマトン!!」



銀色の光が走る。右腕を光が覆う。光が晴れる。右手は完全に治された。

「なっ!?なんだと?術式も詠唱も無しに!?ただ魔力で覆うだけで!?なんだその魔力はぁああああ!!」

ロアの顔には先程の余裕はなくなる。

ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。

あれほどの魔力を身に宿し、平然といられるなんてありえない。なぜなら分かるはずだ。感じているはずだ。

自分が『高み』であると、自分が『頂点』であると、自分が誰よりも優れていると―――――

人間なんぞ、死徒なんぞ、真祖なんぞ、虫ケラ以下であると――――

銀の光の先に、使徒の、晋吾の眼が見える。黒い眼が、真っ直ぐこちらを見ている。―――煉獄の殺意を持って―――

「ひぃいいっ!」

恐怖と共に手をかざし雷を放つ。倒すための攻撃ではない。所詮、負け犬の威嚇と同じであった。

「ッ!」

晋吾も前方に手をかざす。銀色の靄が漂う。雷はそれに触れるだけで消え去る。靄が晴れる。再び眼が見える。

「お前を・・・・殺す」

声が響く。ロアの顔が恐怖に染まる。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。ニゲロ。

ロアは逃げ出す。逃げられないと思いながら。アレと対峙することから逃げ出した。

晋吾は銀色の魔力を練り上げる。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ