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魔法少女リリカルなのは 〜黒影の死神〜
『第二十九話』〜決戦〜
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「あぁ、分かってる……俺も限りある命を捨てたくはない」


 最後に恐ろしい物を見たが、これで決着はついた。










 フェイトside

「…ちゃん、……トちゃん」


 …何?


「フェイトちゃん」


 この声は……なのは?


「起きてよ、フェイトちゃん!」

「う…うぅ……」

「よかった〜、やっと目を覚ましてくれたよ〜」


 朦朧とする意識で何とか眼を開けると、私の顔を心配そうに覗くなのはがいた。


(そっか…私は負けたんだ)


 バインドに拘束されて、砲撃魔法を受けたところから記憶が無い。私は負けた。でも、不思議と悔しくなかった。私は全力でなのはにぶつかって、なのはも全力で私にぶつかってくれた。

 負けたにも関わらず、私の気分はスッキリしていた。


「フェイトちゃん……拓斗君はね、ずっとフェイトちゃんの事を心配してたんだよ?」

「え?」

「ほら、この前フェイトちゃんがジュエルシードを六個一片に封印しようとした時があったよね?」

「う、うん」

「その時ね、管理局の人達はフェイトちゃんが力尽きた後にジュエルシードと一緒に捕まえようとしたの。それが組織として当然だって」

「……そうなんだ」


 当然だ、作戦だったら正しいと思う。私は敵だったんだから。


「でもね、拓斗君だけは違ったんだよ」

「拓斗が?」

「うん、友達を、大切な人を護るのに理由なんかいるのか? って言ってね」

「拓斗が…私のために……」

「そう、なのにフェイトちゃんはそんなこと気付きもしないでさっき拓斗君に勝手なこと言ってたでしょ? だからちょっと頭に来たんだ」

「………」


 考えてみれば、拓斗は初めて会った時からそうだった。見ず知らずの私を助けてくれた。再会してからも、私のことを気遣ってくれた。ジュエルシードが暴走した時、私のことを心配して叱ってくれた。時空管理局が出てきた時、守ってくれた。この前だって、死ぬかもしれないと思った時、助けてくれた。
 そう。拓斗は自分と関係ある人なら自分のことなんてお構いなしでその人たちを護る。そんな人なんだ。


「拓斗君にとってみれば、拓斗君は大切な人たちを護る。それだけの理由…でも、難しい理由で戦っているんだよ。それにわたしやフェイトちゃんなんて関係ない。拓斗君なら迷わず二人とも護るって言うんじゃないかな?」


 なのはの言葉に抑えていたものが溢れ出す。こんな大事な事に気付く事が出来なかった自分の不甲斐なさに涙が止まらなかった。


「な、なのは…か、拓斗は許してくれるかな?…ま、まだ私の事……大切に思ってくれてるかな?」
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