第五話【策士は策に溺れてくれ】
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しかない。飛んだ後のことは、空中ででも考えるとするか。
「まさか、ここは二階ですよ? ケガをしてもいいんですか! 僕は、窓から逃げられないように一階を避けておいたのに!」
加藤君が驚く。俺は二階から勢いよく飛び降りる。空中でバランスを取り、手を着くが無事にケガ無く着地。
ふう、これで逃げ切っただろう。二階から飛び降りる奴なんて早々いないだろ。と、腰を上げる。
「大地、どいて!」
二階から凛の叫び声が聞こえてくる。直後に凛が髪をなびかせ降ってくる。正確には、飛び降りてくる。凛は俺よりも綺麗に着地する。
「あ、あぶねぇな!」
男子ならともかく、女子はいくら他の二階の窓に比べて低いからって飛び降りないだろ!
「お前、いくら切羽詰まったからって、二階から飛ぶなよ。心配するだろ」
「大地に言われたくないわよ! それに私だけ捕まって、アイス取られるのも尺に障るから」
まあ、パンツは見えていたけどケガなくてよかった。それと着地は俺より見事だったけど……。
「案の定、二人が降りましたよ。みんさん、後は頼みました!」
二階から加藤君が叫ぶ。すると校舎の影から、C組の連中が姿を現す。
「まさかと思うけど……。加藤君は俺達が降りることも予想していたと」
なら、さっきの、まさか、ここは二階だぞ。の件は三文芝居だというのか? 加藤……。加藤の奴! 策士だな!
「そ、そう見たいね。これは非常に不味いわね」
流石の凛もこの数には圧倒されているみたいだ。俺と凛を目掛けて走ってくるC組の人たち。
この数は、逃げ切れる量ではない。背中を向けて走ったとしても今の俺の体力じゃ、どうにもならない。
「私は右行くから、大地は左へ! 二人中良く一緒にいても絶好の的になるだけだから!」
直ぐさま、凛が対応する。この状況でも諦めてない凛は凄いよ。凛も体力的に限界なのに。
俺は最後の力を振り絞って左に走る。取り敢えず、あの量を分断して凛の負担を減らす! しかし、C組の追っ手がもう触れることのできる位置に!
「逃げ切りたい!」
切なる思いをつい口に出してしまう。
「……避ければいい……と思います」
……避ける? そうか! 避ければいいんだ! まだ、希望の光は消えてない。
『よし、捕まえた!』
伸ばした手を払い、手の主を避ける。そして、雄叫びを上げる! クラスの女子はビクッとして一歩引く。その隙に男子の手を払いながら避ける。
『おい! 反則じゃないか!』
叫ぶ男子クラスメイトの言葉を無視して目の前の鬼に集中する。
「反則じゃないよ。これは暴力でもないし、タッチされた訳じゃないですからね」
二階から加藤君が叫ぶ。フェイントを掛けて最後の一人を抜く。
抜けた、俺の勝ちだ! いや、B組の勝ちだ! これで俺は初日の黒板消しから
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