暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
07.舞威媛の襲来
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を呟いている。

「え? なによ、いきなり。授業始まるわよ」

 古城は浅葱の手を引いて教室を出て行く。
 多分、浅葱にカノウ・アルケミカルについて調べてもらえるように頼んでいるのだろう。あとで姫柊に伝える時にでも一緒に聞けばいいだろと考えながら自分の席へと座ろうとした瞬間だった。
 誰かの視線を感じた。それはわずかに視野に入れたなどとうものではなく確実に彩斗を監視していた。
 その気配に彩斗の中を流れる“血”に住まう者たちが疼き出す。
 彩斗は“血”に住まう者たちの言葉を聞き受け、教室を駆け出した。
 気配の残滓が導いたのは、彩海学園高等部の屋上。真昼間の屋上ということで陽射しが吸血鬼でなくてもきついと思うほどだ。
 屋上の周りを囲む落下防止のフェンス。そこに立つ一人の少女。
 薄い栗色の長髪を一つで縛ったポニーテール。ほっそりとした背は少女としては高い。短いプリーツスカートにサマーベスト。どことなく見覚えのある黒い大型の楽器ケースを背負っている。

「あんたは……」

 刹那。少女は突如として背中の黒い大型の楽器ケースから銀色に反射する何かを取り出す。普通に考えれば楽器だ。
 だが、ケースから取り出されてのは、楽器ではなかった。
 刃渡りは百二十センチはあると思われる分厚い刀身の長剣だった。
 その姿は、雪菜の“雪霞狼”によく似ている。
 向けられた敵意に反射的の右の拳をわずかに固める。

「いきなり武器を出すのは、やめてもらえないかな。……舞威媛さん」

 彩斗の前で武器を構える、ポニーテールに束ねた栗色の長髪が風でなびく少女。
 獅子王機関の舞威媛、煌坂紗矢華だ。

「私の気配を辿って来るなんてさすがね、緒河彩斗」

 紗矢華は、そう言いながら剣先を彩斗へと向けてくる。

「まぁな。ってか、あんたはヴァトラーの監視役じゃなかったのか」

「“オシアナス・グレイヴ”は、今、日本の領海外の沖合に停泊しているの。ディミトリエ・ヴァトラーは就寝中。私の監視任務は一時中断よ」

「なるほどね。だが、それが古城を監視しているのと何の関係があるんだ」

「あなたに教える必要なんてないわ」

 紗矢華は敵視する眼差しで彩斗をじっと見ている。沈黙の中、向かい合う。

 一歩でも動けば紗矢華は動き出すだろうと彩斗は悟った。ここで下手に攻撃を受ければ、眠っている眷獣が無理やり目覚め暴走しかねない。
 その硬直した空間は、一人の少年の登場で破られることになった。
 この屋上の一つ向こうにある屋上庭園。そこに設けられたベンチに暁古城がぼんやりと空を眺めている。

「あのバカ……なにしてんだよ」

 そう思った瞬間、目の前の少女が舞った。舞い上がった少女は、フェンスなど軽々飛び越え、
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