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八条学園怪異譚
第五十七話 成長その六
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「ついでに言うと案内役もおるぞ」
「それ誰ですか?」
「誰が案内してくれるんですか?」
「わしじゃよ」
 博士はにこりと笑って自分自身を指し示して二人に答えた。
「わしが今回の案内役なのじゃよ」
「えっ、博士がですか」
「案内してくるんですか」
「そうじゃよ」
「ううん、何か博士が案内してくれるって」
「珍しいことなんじゃ」
「そういえばはじめてじゃったな」
 案内役はだとだ、博士も二人に答える。
「しかしわしも歩きたいのじゃ」
「それでなんですか」
「案内してくれるんですか」
「博士はこれでも健康に気を使う性格だ」
 ここで牧村の声がした、彼は研究室に入ると二人にこう言ったのである。いつも通り長身で引き締まった体格を真面目に着こなした服で包んでいる。
「そうしたことにもな」
「だから長寿なんでしょうか」
「それでも元気なんですか」
「健康でなければ長生きできん」
 そうだとだ、博士も答える。
「とはいっても病弱でも長生きは出来る」
「矛盾してません?それって」
 愛実は病弱でも長生き出来ると聞いて博士に返した。
「身体が弱いっていうことは」
「健康ではないからじゃな」
「それでも長生き出来るんですか」
「養生すればな」
 それも可能だというのだ、病弱でも長生き出来ることが。
「カント然りじゃ」
「教科書に出て来る人ですよね」
「ドイツの哲学者じゃよ」
 正確に言えばプロイセンのだ、当時プロイセン領であったケーニヒスベルグ大学の教授であり時計の様に正確な生活を送って健康を保っていた。
「あの人は長生きしたがな」
「身体が弱くても節制すればですか」
「長生き出来るんですね
「そういうことじゃ、健康を保つことじゃ」
 そうすればだというのだ。
「何につけてもな」
「じゃあ連日連夜徹マンとかは」
「お酒に煙草をいつもやっていて」
「早死するぞ」
 それは間違いなくそうなるというのだ。
「あと力士に多いがのう」
「力士さんですか、今度は」
「力士さんの場合は一体」
「力士は今はどうかわからんがよく大酒大食いでじゃ」
 それでだというのだ。
「しかも飯に酒をかけて食ったりもしておった」
「それって糖尿病になりますよ」
「御飯に日本酒って」
「だから早死が多かったのじゃ」
 力士には、というのだ。
「今は違う様じゃがな」
「そうした無茶な食事と飲み方がですか」
「よくないんですね」
「わしも甘いものやお酒は好きじゃが」
 それでもだというのだ。
「一応節制はしておる」
「それでなんですね」
「長生きなんですね」
「そうじゃ、あと薬も飲んでおる」
「仙術のですよね」
「丹薬を」
「高麗人参や様々な滋養のものもな」 
 そうしたものもだという
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