幕間 第25.5話「空話〜決意〜」
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――星人が出るのは俺がいるところだけなのかもしれない。
最近ではそう考えるようになっていた。
ここの世界に来てからはタケルの近場でしかミッションが起きていない。
麻帆良で、京都で、また麻帆良。
ミッション数が多いわけでもないし、証拠があるわけでもないので、断定材料と決め付けるには少し不安要素が大きい。
だが、もしそうならばガンツがミッション出撃時に転送してくれなくなったことへの辻褄が合うのではないだろうか。
もしそうなら自分がいなくなったら星人たちはどうするのだろうか。この世界から消えるのだろうか。それとも人を襲うようになるのだろうか。
――いや。
無差別に人を襲うことは恐らくないだろう。
元々どんなミッションでも星人から仕掛けてくることは滅多になかった。どのミッションにしても最初にこちらから星人たちの命を奪ったり、怒らせたりしたことがコトの発端になっている。
たまに知的生命体である星人が、何もしない人間たちに群れをなして襲い掛かってくることもあったが、それはそれをしなければミッションの人間達が襲いかかってくることを知っていたから。
いわゆる自衛手段として、だ。
今いるこの世界でガンツが蔓延っていることはなさそうなので、星人たちも大人しくしていると見ても問題はなさそう。
――つまり。
タケルはどこか誇らしげに、そして安心したように呟く。
「俺がいなくなっても大丈夫ということだ」
ヘルマン伯爵事件が終わった後、ネギが教師としての自身を失ったり相坂さよの幽霊事件があったり、さらには茶々丸暴走? 事件があったりと色々と騒ぎに事欠かない3−Aの面々だったが、それらも無事に過ぎさり、気付けば麻帆良祭前日にまで差し迫っていた。
学園長室。
時刻は夜。
「……それは本当ですか?」
「うむ」
タケルの問いに、学園長が頷き、重苦しい空気が両者に流れていた。
麻帆良祭には世界樹伝説という伝説がついて回っている。学園祭の最中に、告白すれば意中の相手と付き合うことが出来るという、いわゆるよくある迷信である。
当然のように、単なる作り話のはずなのだが、ここ麻帆良の世界樹は本物の神木であり、魔法の樹でもある。
魔力をためこんだ世界樹は22年に一度、即物的な願い以外は100%の確立でその願いをかなえてしまう。生徒達にとっての即物的意外な願いといえばそれはもう告白しかないわけで。つまりは好きでもない相手と付きあったりと成就率100%という恐ろしいことになってしまうのだ。
今年は21年目なのだが、異常気象の影響で一年早まってしまい今年がその年になったというわけだ。
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