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久遠の神話
第九十話 家族の絆その六
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「素晴らしいことにね」
「そうですね、人は進むものでもありますね」
「戸惑い立ち止まり迷いながらも」
 そうしたことを繰り返しながらもだというのだ。
「進んでいくものよ」
「それはあの人達もですね」
「剣士は誰も人間よ」
 人間、あまりにも人間的な人間だというのである。その心に欲というものがありそれに心をとらわれているからこそ。
「そして人間だからこそね」
「進めますね」
「だからこの戦いは」
 必ず、だというのだ。
「私達も動いているけれど」
「あの人達もですね」
「動いてそしてね」
「この戦いを終わらせられますね」
「必ずね」
 それが可能だというのだ。
「間違いなくね」
「ではですね」
「私はこの戦いを終わらせるのは」 
 それは誰かというと。
「彼等だと思っているわ」
「剣士の人達がですね」
 豊香も道を進みながら智子に語り掛ける、モスクワの街はまだ冬ではないというのに日本の冬よりも遥かに寒い。
「終わらせるのですね」
「そうなると思うわ」
「ではその剣士は」
「私が見たところ」
 智子は豊香に冷静に述べていく。
「炎の剣士ね」
「あの人ですか」
「そう、彼よ」
 上城だというのだ、戦いを終わらせられる剣士は。
「彼こそがそうしてくれるわ」
「そういえば近頃スフィンクスの手引きで多くの剣士と戦っていますね」
「そう、それで強くなっているから」
「そしてその力で戦いを」
「終わらせれるわ」
 その力を得た上城ならというのだ。
「必ずね」
「そうですか。それでは」
「ええ、彼が終わらせて」
 そしてだというのだ。
「私達はね」
「そこでセレネー姉様が何かを為されようとすれば」
「彼と共にね」
 やはりここでも上城の名を出す智子だった、上城のことを聞いてそのうえで強い声で述べた言葉である。
「そうするわ」
「そこでもあの人ですか」
「そのつもりよ」
「そうなのですね」
「長きに渡った戦いも」
 ここでだった、智子の言葉に感慨がこもった。
「この時代で終わるわ」
「遂にですね」
「もっと深く私達がアルテミスを助けていれば」
 智子は歩きつつその顔に苦渋を及ばせた、これまでの無数の戦いの中で弄ばれた剣士達の魂のことを思い。
「悲しみは少なくて済んだわね」
「そうでしたね」
「ええ、必ずね」
 智子は悔恨の言葉を述べていく。
「これまで。二人のことと思って」
「それで、でしたね。私達は」
「この戦いには関わろうとしなかったわ」
「そしてそれが」
「ええ、今まで戦いを続けさせてしまったわ」
 そして剣士達の魂を何度も死なせたというのだ。
「そうしてしまったわ」
「より早く決断すべきでしたね」
 豊香も歩きつつ悔恨の言葉を口にす
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