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久遠の神話
第九十話 家族の絆その一
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                  久遠の神話
               第九十話  家族の絆
 豊香はモスクワに来ていた、その服は普段のものとは全く違い厚い毛皮のコートに帽子、そして丈の長いスカートに中が毛皮のブーツだった。
 その服装でモスクワにいる、しかしお互いに脳裏に語り掛けて連絡を取り合っている智子に苦い顔で言った。
「冬は寒いものですが」
「それでもなのね」
「ギリシアや日本のものとは比べものになりません」
「そうね、けれどもっと言えばね」
「今のロシアはですね」
「冬ではないわ」
 その季節ですらないというのだ。
「生憎ね」
「冬でなくともこの寒さですか」
「ロシアの冬はこんなものではないわ」
 とてもだというのだ。
「若し手がそのままだと凍傷になるわ」
「そしてその指がですね」
「ええ、その凍傷でね」
 使いものにならなくなりそしてだというのだ。
「なくなってしまうわ」
「それがこの国の冬ですね」
「それが最大の武器でもあるけれど」
 ロシアは冬将軍に守られている国だ、このあまりにも厳しい冬が多くの外敵を退けてきているのだ。どんな英雄が攻めてきても。
「こんなものではないわ」
「そうですね」
「だからまだね」
 今はましだというのだ。
「そのことをわかったうえでね」
「今はですね」
「彼の家族のところに行きなさい」
 そこにだというのだ。
「わかったわね」
「わかりました、それでは」
「そしてね」
「はい、それからですね」
「家族とね」
 そしてだった。
「私の方は既に接触出来ているから」
「熱の剣士とですか」
「後はお互いの心をつなげて」
「お互いにその心を聞ければ」
「彼は戦う理由をなくすわ」
 こう豊香に話すのだった。
「だからここはね」
「私が彼の家まで行って」
「そう、貴女の方をつなげて」
 コズイレフ、彼の家族の方とだというのだ。
「わかったわね」
「わかりました、では彼の家族の場所に」
「もうそこはわかっているわね」
「既に」 
 このことについてはだった、豊香は智子に微笑んで答えた。
「ご安心下さい」
「大地からそれを聞いたわね」
「大地は私の母様の治めるところです」 
 豊香、即ちペルセポネーの母はデメテルだ。デメテルはオリンポスの神々の中では大地と豊穣を司る女神なのだ。ゼウスの妹、最初は先に産まれたが父であるクロノスに生まれたその時に飲み込まれ後になってその口から出て来たのでそうなっている。
「ですから」
「自由にその声を聞けるわね」
「そうです」
 だからだというのだ。
「私は」
「では今も」
「聞いています、しかもこの国は大地の国です」
 よく言われている、ロシアは大地の国だ。そして河川国家
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