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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六話 掣肘
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「軌道エレベータは如何しますか?」
シェーンコップ准将が問い掛けるとヴィオラ大佐が顔を顰めました。
「本来なら占拠すべきですが貴族連合軍との戦闘に巻き込まれれば破壊されるという事も有りえます。占拠は少々危険です」
そうですよね、ヴィオラ大佐の言う通りです。戦闘中はどんな事でも有り得ます。でもあの軌道エレベータが破壊される? 大惨事でしょう。想像したくない。

「戦局がどのように推移するかによりますね。それによって占拠出来る可能性は変化する……。出来れば破壊される事無く占拠したいと思います、難しいかな……。占拠対象として準備を整えてください。最終決断は私が下します」
ヴァレンシュタイン総司令官代理の言葉に准将と大佐が頷いた。

戦局の推移……、どうなるんだろう? 多分貴族連合軍が回廊から出て来てそれを同盟軍が撃破、そのまま追撃戦でフェザーン回廊に突入してフェザーンを制圧、そんな感じかな……。だとすると貴族連合軍も逃げるので精一杯だから軌道エレベーターも問題無く占拠出来るかもしれません。

オペレーターが“ハイネセンから総司令官代理に通信です”と声を上げました。声を上げたオペレーターはちょっと緊張しています。怖がられている? 違いました、驚きです。相手はサンフォード最高評議会議長だったのです。皆、驚いていましたが一人だけ無反応でした。相変らず可愛くないです。

サンフォード議長は不機嫌そうな顔をしています、なんだろう?
『ヴァレンシュタイン中将か、今貴官達は何処にいるのかね』
「ランテマリオ星域で貴族連合軍を待っています」
サンフォード議長が顔を顰めました。あのー、本当は嘘ですけど……。
『何故フェザーンに行かんのかね、貴族連合軍はフェザーンに居るのだろう?』
「フェザーンから出て来るのを待っています。待ち受けて戦った方が有利ですから」
議長が益々顔を顰めました。あれかな、自分は機嫌悪いんだってアピールしてるのかな、だとしたら意味無いんですけど……。

『フェザーンからの放送は見たかね?』
「ええ、見ました」
『酷いものだ、何の罪も無い民間人が大勢犠牲になっている。貴官は如何思うかね?』
要するにアレ? 早くフェザーンに攻め込めって事?

「酷いものですね」
『そうだろう、そうだろう』
アラ? 何か嬉しそうなんですけど。犠牲になった人を悼んでいるんじゃないの?
「しかしサンフォード議長閣下が心配する事ではないと思いますよ。フェザーンにはボルテック自治領主が居ます。彼が何とかするでしょう、それが彼の仕事ですから」
議長の顔が歪みました、紅潮しています。総司令官代理はニコニコしていました。性格悪いです。

『ヴァレンシュタイン中将、私は最高評議会議長なのだがね、理解しているかな?』
押し殺したよ
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