『第二十八話』〜束の間の平穏〜
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写っている犬を見て俺は驚いた。なぜならば、写っていたのは間違いなく……
「(拓斗君、これって……)」
「(ああ、間違いない…アルフだ)」
「拓斗?」
「どうしたの?」
「…いや、なんでもないよ。知り合いの飼い犬に似ていてつい……」
そう言って俺は携帯電話をアリサに返した。
「心当たりあるの!?」
「あぁ。お前の家に行くまでには思い出しておくよ」
放課後、早速アリサの家に向かった。執事である鮫島さんに通されて大きな門を潜る。すずかの家も大きかったが、アリサの家も負けてないな。
「こっちよ、ついて来て」
アリサについて歩いていると、やがて一つの檻の前までやって来た。
そこには、傷つき、包帯だらけのアルフの姿があった。
「どう、拓斗? 知り合いの犬に似てるって言ってたけど……」
アリサの言葉にアルフが反応し、立ち上がろうとしたが、力無く倒れる。
「(た、拓斗……)」
「(無理しなくていい)」
念話で話しかけて来たので、大人しくさせる。
「ああ、ビンゴみたいだな。飼い主はわかってるから大丈夫だよ」
「そっか、よかった〜」
俺の言葉に安堵するアリサ。
「俺はもう少し様子を見てるから、アリサ達は遊んでていいぞ」
「え? でも……」
「…行こう、アリサちゃん、すずかちゃん」
「ちょ、ちょっとなのは?」
「なのはちゃん?」
(悪いな、なのは)
(ううん、アルフさんの事お願いね)
三人が行ったのを確認して。
「リニス。出てきてくれ」
茂みから一匹の猫が出てきて、アルフの前に座る。
「(アルフ!? 大丈夫ですか!?)」
「(り、リニスかい? あぁ、このぐらい…ぐっ)」
「(馬鹿。無茶をするな。今、治癒魔法をかける)癒しの巫女の魂よ 今一時 その力を我に宿し 傷つきし者を救い給え『治癒』」
そういって詠唱を始めるとアルフの下に魔法陣が展開され傷口が収まっていく。
「(すごい…痛みどころか魔力も回復してる……)」
「(それより何があったんだ?)」
「(拓斗、フェイトを、フェイトを助けてやってくれ! お願いだ!)」
アルフは泣きながらも、しっかりと自分の目の前で起きたことを放した。
フェイトがプレシアからの虐待を受けていたこと。そして我慢の限界が来てプレシアを殴ろうとしたら彼女の後ろから黒い異形が出てきたこと。
「(…そうか)」
「(殺されるかと思ったら急に逃げろなんて…もうわけがわからないよ……)」
泣きそうな声を漏らすアル
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