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世田谷東署落ちこぼれ事件簿
世田谷東署落ちこぼれ事件簿1−1
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ードを購入した販売店の聞き込みからスタートした。
 今時プリペード式の携帯電話を使っている人は少なく、応対した店の店員も旦那の事を憶えていた。
「ええ、奥さんの為に購入するんだって言ってましたよ。確か一万円だったな、奥さんが遠くに旅をするからって。それにあわててましたね急いで帰りましたよ」
「旦那はどうしてそんなに急いでたんだ、ちょっと怪しいな」
「買いに来た時間からすると奥さんが亡くなった後ですね」
 自宅の近所でも夫婦仲の聞き込みをしたが、いつも夫婦二人で仲良く旅行したりと、夫婦仲は良かったと何人もの人が証言した。
「どうやら旦那の虚偽の線はないな」
「そうですね、わざわざこんな嘘の為に一万円ものプリペードなんか買いませんよね」
「ああ、時間も無い事だし次だ」
 取りあえず自宅で納棺を終えた後に、旦那が携帯電話を奥さんの遺体の入った棺に入れたと言う時間から翌日の葬儀場に出棺するまでの時間帯に出入りしていた人物を、当日手伝いに来ていた近所の主婦から聞き出し、犯行可能な全ての人物をリストアップした。
 捜査開始が午後からのだったので、第一日目の捜査はここで終了した。

 二日目はリストの中で単なる通夜客を除き、犯行の時間帯と考えられる時間に棺に近付いたり触れたりする事が可能な人間をチョイスする事にした。
 昨日捜査に協力してくれた近所の主婦に、もう一度協力をお願いした。
「またなの」
 主婦はまた来たのかと迷惑そうな顔をした。
「ご苦労さまでした。大変でしたでしょお手伝い。私たち何も知らない連中には、どうしていいか分からない時に本当に助かりますよ」
「そうなのよ今の人は何にも知らないから」
 主婦はニッコリ嬉しそうに笑顔になった。
「ところで、納棺の後なんですが」
「納棺の後は・・・」
「ええ、どうでした」
「自宅で納棺を済ませてから、それに通夜と葬式をする北沢の葬祭場に移動しても、旦那さんはずーっと棺に付き添っていたわね」
「トイレとか、夜中は寝たんじゃないですか」
「それが朝まで一睡もせず、ずーっとだよ。朝私が行ったら、まだの棺の前に座ってた。身体に毒だからって少し寝かせたんだよ」
「それじゃ朝から後だな」
 山本刑事はそうかと大きく頷いた。
「それからは棺の側には旦那さんは居なかったんですね」
「誰も座って居なかったよ」
「誰も居なかったんですね」
「でもさ、私がいってからは色々手伝いや訪問客がいっぱい来て棺の周りに、いつも複数の人がいたよ」
「おいおい、それじゃ誰にも見られずに棺から抜き取るのは難しいって事か」
 山本刑事は頭を抱えた。

「・・・そうか、他人に見られても怪しまれない人物なら」
 純平は、他人に見られても怪しまれない人物の犯行なら可能だと考え付いた。
「おおッ、そ
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