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世田谷東署落ちこぼれ事件簿
世田谷東署落ちこぼれ事件簿1−1
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見ながら山本刑事は純平の説明を聞いた。
「自宅で納棺の時、誰も他にいない間に内緒で奥さんの使っていたケータイを入れたと言ってました」
「そのまま焼き場で遺体と一緒にケータイも焼かれた筈だと言う事だな、そのケータイから旦那のケータイに電話が入ったて話しか」
「はい」
「旦那は何で誰も居ない時を選んで棺にケータイを入れたんだ」
「棺に金属など余計なものは入れない様にと葬儀屋に言われたそうです」
 読み終えて山本刑事は机の上に報告書を置いた。
「やっぱり幽霊か」
「なんか引っ掛かったんです。幽霊が電話を掛けるなんてあり得ませんから」
「そりゃそうだ」
「歴史小説でよく墓荒らしの話が出てくるんですが」
「ピラミッドの盗掘とかか」
「日本でも墓男が新しい墓を掘り起こして中の金品を奪う事件はありましたから」
「それは昔の土葬の時代の話だろ、田舎でも今は火葬だ。墓泥棒なんかあり得ない話だ。まあ有名人のお骨が盗難にあった事件はあったけどな」
「棺に入れたケータイが火葬になる前に抜き取られていたらあり得ます」
「盗難事件か、それとも旦那の一人芝居って事もある」
「どちらにしても事件は事件です」
「そりゃそうだ」
「盗難事件だとしたら葬式前日の自宅で納棺した時から次の日の葬祭場で火葬場に出棺する前に棺に釘が打たれるまでの間の時間だな犯行可能なのは」
「携帯電話は使い道はありますから盗む価値はあります」
「盗難事件なら旦那が携帯電話を入れた所を犯人が見ていたって事だな。どっちにしろちょっと捜査してみるか」
 そう言った山本刑事の顔に一瞬だが微笑みが浮かんだ。

 山本刑事は南田係長に捜査をしたいと話をしたが、刑事課では他の事件が入っていて課員は手一杯の状態だと捜査に難色を示した。それでも山本刑事は説得し、渋々だがなんとか三日間だけと言う期限付きでの捜査を許可された。

 その日のうちに山本刑事と純平は捜査を始めた。
「焼き場に行くぞ」
「はい、でもどうして焼き場ですか」
「焼き場まで棺にケータイが残っていたかどうか確かめるのさ」
 二人は棺を焼いた火葬場に向かった。
「こちらではご遺体を焼却し終えて骨を拾っていただく場所にお出しする前に、一緒に異物が焼かれて残っていた時には前もって排除してお出しています」
「この仏さんには何か金属の様な物は残ってましたか」
「たしか何も無かったです」

「実際に旦那がケータイを入れたのなら抜き取られたのは確かだ」
「盗難事件成立ですね」
「いやまだだ、行くぞ」
「今度は何処ですか」
「時間がないんだ、黙ってついてこい」
 次の聞き込みは相談に来た旦那の裏を取る為に、旦那周辺の捜査に取り掛かった。
 まずは旦那が奥さんの携帯電話と一緒に棺に入れたと言っていたプリペードカ
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