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アマガミという現実を楽しもう!
第15話:ラブリー入部
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所が身を潜めるのに最適ではないか、そう思ったのだ。
 徹にも追い掛け回され、そのためクラスの連中にも発見された俺は、ひたすら鬼ごっこを全力で行うことになった。輝日南中の屋外プール付近に到着した俺は、鍵が掛かってないことに気がつき、水泳部という身分を生かしてプールの中に逃げた。鍵が開いていた理由は何故か分からなかった。
 全力疾走を繰り返した俺の脚は、既に限界を迎えていた。走ってこられたのは、スイマーズハイのランニング版であるランナーズハイに達していたからであった。やけくそになっていたこともあり、
(どうにでもなってしまえ!あはは、走るの楽しいな!)
という心境で走っていたのである。




「大丈夫か?」
「えっ、うん。腿が少し痛いけど平気」


 なんちゅう足だ、俺よりも鍛えられているんじゃないか?と思わせるくらい、森島の顔は汗が浮かんでいるくらいでケロッとしていた。森島って、運動が得意じゃないって言ってなかったか?


「森島さん、って運動得意なの?」
「ううん、男の子に混じって泥だらけになったり山の中に入っていったりしてたけどスポーツは得意じゃないの」


 ああ、原作にそういった内容があったような気がした。確か服を買ってもらっても、よく汚したっていう話だっけな。うん、毎日走り回っている経験があれば、水の中がメインの俺より足腰が強くても違和感は無いかな。…少し悔しいけど。


「う〜、目に汗が入っていたいよう」


 ほらほら、汗が目に入って痛いんじゃないのか?目をこすらない、大人になってから目を悪くするぞ。俺はポケットから可愛らしい子犬のキャラがプリントされた自分のハンカチを裏返して額の汗を拭く。


「あっ…」
「目を擦るな、痛めるぞ」
「うん」


 何か無邪気な娘の仕草をいちいち注意するお父さんみたいな気分になる。こういう気分や気持ちを父性というのだろうか、それとも保護欲とでも言うのだろうか。う〜ん、分からない。
そんなことを考えながら、森島の額や頬の汗をハンカチで拭っていく。


「ほら、出来たから今度は自分でやるんだぞ」
「あ、ありがとう…」
「え?…あ、そうか、すまん」


 森島のぽかんとした顔を見て、自分のやっていることが分不相応なことに気がつき、俺は言葉を濁してごまかそうとした。そうだ、俺は彼女にとっては同級生であって、見知ったおじさんではないのだ。ただの同級生がこんな事をするのは、普通は可笑しな話なのだ。自分の行為をフォローする言葉を言おうとする時、俺と森島のいる場所に近い位置から物音がした。俺は開いた口を閉じ、音源が何かを掴もうとする。
















ペタッ…ペタッ……


(足音!?)
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