第25話「過ちと真実」
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申し訳なさそうに背後から、ヘルマンが一枚の封筒を取り出した。不思議なことに雨にさらされているにもかかわらず、全く濡れる気配がない。
「これをキミに。私の依頼主からだ」
「俺に? ……依頼主?」
――星人……じゃないのか? いや、しかし……?
訳がわからずに、それでも警戒態勢を解こうとしないタケルに、呆れたようにため息を吐いたのは、やはりヘルマンだった。
「やれやれ、これでも警戒を解いてくれないとは……」
――困ったものだ。
呟き、言葉をつなげた。
「私達はこれから用事があるのでね、もし依頼主の頼みを聞く気になったら学園広場のステージまで来てくれ給え! 私の名はヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン」
はっはっはっはと高笑いと封筒を残し、幼女達と共にその場から消え去った。
一人残されたタケルは呆然と、そして物足りなさそうに封筒を眺めるのだった。
――やぁ、久しぶりだね、タケル。
手紙はこうして始まっていた。
――本当は映像化して送ったほうが楽なんだけど、魔法力のないキミでは見られないから、面倒だけどこうして文面にしたためることにするよ。
いきなりチクリと毒を吐いてくる彼に対し、思わず苦笑してしまった。
――早速本題に入けど、端的に言わせて貰う。ヘルマン伯爵のやることに手を貸して欲しい。彼の目的は色々あるけど、君に手伝ってもらいたいのはネギ・スプリングフィールドの実力調査だ。
「ネギの……?」
首を傾げつつも読み進める。
――ああ、理由に関しては伏せさせてもらう。タケルが今すぐに僕らの仲間になってくれるというのなら話はべつだけど、どうせ今の所そんな予定はないんだろう?
確かに、そんな予定はない。
――と、いうわけで、キミには人質を演じてもらいたい。元々ヘルマンには君達の生徒で魔法をしっている人間を人質にするように命じているけど、やはり君も捕まっていてくれればそれだけ子供先生も本気になるだろうし。
――ああ、人質にする生徒達には一切手を出さないから心配しなくても大丈夫。さて……どうだろうか?
――追記:下手をすればネギ・スプリングフィールドの片手、片足が永久石化するかもしれないことにも触れておくよ。それじゃあ、また。
そして、最後にはこう締めくくられていた。
――コズモエンテレケイア、フェイト・アーウェンクルス
「……」
自室にて手紙を読み終えたタケルは大きく息をついた。
ネギとフェイトは京都でも揉めたらしいので、当人同士の問題と考えたほうが良さそうだ。タケルとしては一般生徒に危害を加えるつもりがないなら、それでいい。
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