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ゲルググSEED DESTINY
第百三話 一発は一発
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分かった。ぼんやりと意識がはっきりしないのは血が足りていないからだろうか。そう思いつつ救急用のシールで血が流れていた所を塞ぐ。

「何だ、まだ戦ってたのか?」

そうやって人心地ついたからか、外の様子を確かめようとハッチを開いてみると(メインカメラもサブカメラも機能を停止していた為、目視で確認するしかない)、MSの機影が戦闘を行っているのが分かった。いや、戦闘というには些か語弊があるような気もする。議長の乗るナイチンゲールがシン達を圧倒しているからだ。
まあ、当たり前といえば当たり前の状況だ。ナイチンゲールはほぼ無傷、一方でデスティニーやストライクフリーダムは満身創痍。ゲルググと同じ核融合炉を使ったたった二機しかいない最強の機体を相手にするには荷が重い。

「ハハ、ハ……ざまみろ」

クラウは空虚に嗤いながらそんな言葉を口にする。シンやキラに対して言っているのだろうが、その言葉はまるで自分に対してそんな事を言っているかのようにも聞こえた。

「……機体のライフルは生きてるのか。ここで撃てば、落とせるよな」

誰もクラウのゲルググに注意など向けていない。死んだと思われているのだから当然だろう。尤も、AIや核融合炉を搭載しているのだから、もう少し警戒位残しておいた方が良いとクラウは思うのだが――――

「まあ、俺の存在なんてそんなものだって事か……」

結局、イレギュラーな存在である彼は運命に関わりきれないという事だ。どれほど世界を動かそうとも、自分の運命一つ変えれなかった彼に存在意義などありはしないのだと否定的に受け止める。

「この場合、無視してる方が悪い。ライフルが使えるなら、俺の運命を変えるために――――」

『システムにエラーが生じているため、対象をロックすることが出来ません。今すぐカメラを復旧させてください』

そうAIに返されてしまったので目視で狙いを定める様にする。面倒だが、この手の作業は所詮慣れに過ぎない。機械でのロックなど補助でしかないのだから目視で狙いを付けることなど別段難しい事ではないのだ。
先程機械を殴ったのが原因だったりするのだろうか、などとどうでもいいことを考えつつクラウは狙いを付け始める。
動きの遅い艦から狙うべきか、しかし戦艦の耐久力から考えてそれは面倒だ。やはり狙うならMSだろうと思い、問題はどのMSを狙うかと考える。

《クラウ……アンタが自分の不幸を嘆いているなら、そう言ってくれないとわかるわけないだろ……人は言葉にしなくても分かり合える程、便利な生き物じゃないんだ……》

そうやって何気なく戦場を見ながら考えていると、シンのその言葉が思い起こされた。

「よくよく考えれば、俺って誰にも話したことなかったよな……」

どうせ信じられない。馬鹿にされるに決まっ
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