第四話
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からめ手を得意とする彼らには到底耐えられないプレッシャーだったらしい。
「て、てん、転移、い……」
「ひ、あ、け、結晶が……!」
一人は口がこわばり、もう一人は手が震えて結晶を取り落す。
そして、結晶が落ちた、その瞬間。
「…………」
ガツン。パリン。
言葉にすればそんな感じの、重音の後の悲しいほどに軽い音が響いて、抜身の刃が結晶を無慈悲に、軽々と斬り砕いた。派手な音を立てて地面を穿った剣は、片手剣とは信じがたい重厚感を醸し出す。具体的に言うならば、軽装備のオレンジプレイヤーくらいならばらくらくと一刀両断してしまいそうなほどには。
「ひいいいいい! 結晶砕いたあああ!?」
「いやだあああ! 死にたくねえええ!!!」
二人の犯罪者が、悲鳴を挙げて……そのまま地べたへと座り込む。
「……吐け。……洗いざらい」
キリトの一声で二人が全面降伏するまで、五分と時間はかからなかった。
アルゴ曰く「まさに恐怖の大王だったヨー」だったそうだ。
◆
「罠を設置できる、っていうのが確認されてネー」
事が終わったのち、アルゴはそう言った。
「ホラ、キー坊もあの屋敷でかかったロ? アレは一応『現在最高レベルの《索敵》使いで罠を感知することが可能か』の実験の意味合いもあったんだヨ。アーちゃんを巻き込んだのは予想外で、悪かったナ」
「い、いえ! こっちが勝手についていったんですし……」
「で、その『罠を設置する』っていうのを悪用して情報屋を狙うオレンジプレイヤーの噂が広まってた、ってわけだ。今回は俺とアルゴの二人を囮に、キリトが護衛、って形だったんだよ」
「なるほど、確かにお二人ならこれ以上ない情報屋です。ああ、だからキリト君も《隠蔽》してたんですね! ほかのオレンジプレイヤーに気づかれないように!」
成程と手をうつアスナに、そうそう、というように二人が頷く。……が、俺は気づいている。アルゴとシドの二人が、必死に笑いをこらえていることを。それならそうと言えばいいものを、この二人、わざと黙って俺を笑ってやがったというわけだ。
言うまでもないことだが、アルゴは俺が尾行をしていることなんて気づいていた(っていうかシドが同行している段階で当たり前に知っていた)。アルゴ盗撮作戦なんてものは最初から俺を笑うための方便に過ぎなかったのだ。……ノリノリで対応しているアルゴが憎い。敵を欺くにはまず味方から、なんてことを許すつもりはない。
「今回は被害も、数人が囲まれていくらか情報を脅し取られたダケで済んだヨ。敵も味方も死者ゼロで済んで何よりサ。ご苦労様だったナ、キー坊」
「ほい、これは俺達からの報酬な。アスナのほうも」
「……おう」
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