第四話
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うなルートで移動していた。それはつまり、「追跡者が罠を仕掛ける機会は十分にあった」ということだ。
そしてそれは発動した。
宙吊り、という……今の俺には最悪な形で。
前もって言っておこう。
すまなかった、と。
◆
―――ああいうのを、スイッチが入った、っていうんだろうねー
のちにアスナはそう語った。
アスナ、そしてアルゴとシドが宙吊りになった瞬間、まさにキリトの表情が「消えた」。アスナは「スイッチが入った」と表現したがそれは本人にとっては「ブレーカーが落ちた」状態だった。度重なる負荷によって、彼の感情は飽和し……吹っ切れた。
一瞬での……アスナのレイピアを抜く暇すらない速さでの跳躍。
そのまま背中の剣を抜いて彼女の足を取った縄を切断。
「っ……きゃ、み。見た!? ……って、え……?」
しりもちをついて……同時にめくれたスカートを慌てて直す、アスナ。普段のキリトであれば慌てて否定しただろう状況だが、ブレーカーの落ちたキリトは無表情にその姿を一瞥しただけで、そのままあさっての方向……アルゴ、シドのほうを見やる。
ちなみにこの時の表情は「なんか修行僧みたいだった」と評された。
「っと、キー坊、助かる!」
「うっし、サンキュ!」
駆け出すと同時に二人がキリトを認識。
間髪入れずに罠が破壊され、二人が感謝の声を上げる。
キリトの快進撃は止まらない。
「あそこか……」
つぶやいて、再び走り出す。
そこには、あわててストレージを操る人影が、二つ。この罠を仕掛けたのだろうその犯罪者プレイヤーたちだ。ここまで四人に存在を気取らせなかった《隠蔽》を持っているということはそれなりのレベルなのだろうが、それは今のキリトには全く関係なかった。
「シド」
「お、おう!」
呼び声……えらく平坦な声に応えて、シドが走り出す。同時に駆け出したキリトは、この騒ぎを聞きつけてやってきた大熊を足すら止めずに一刀の下に切り伏せていた。のちのアルゴ曰く、「あーいうのを、切り捨て御免、っていうんだろうナー」だそうだ。
「ひっ、に、逃げろ……!」
「う、うわあああ!」
二人のオレンジプレイヤーは転移結晶を取り出そうとあわててポーチを、あるいはストレージを探る……が、相手が悪かった。かたや敏捷極振り。かたや『攻略組』。なにより、その『攻略組』……『黒の剣士』と名高い生粋のビーターが。
「……」
「ひ、ひいいいいい!」
「た、助けてえええ!」
すっぽりと表情の抜け落ちた、しかし目だけがあらゆる感情の飽和した意志を映して鈍く輝く状態で、剣を構えて突進してくるのだ。それは、オレンジとはいえ、罠といった
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