暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第八十九話 六人目への介入その十

[8]前話 [2]次話
「伝えるのですね」
「特に熱の剣士に」
「そうよ、そうすればね」
 智子は強い、確かな目の光で語る。
「彼は絆を確信するわ」
「決して壊れない絆をですね」
「既に信じているからこそ」
「彼は幸せな人よ」
 智子はコズイレフについてこうも述べた。
「とてもね」
「家族としてお互いに信じ合えているからですね」
「愛し合えているからこそ」
「そうした家族はそこにいるだけでね」
 信じ合い愛し合う家族の中、その中でいるだけでだというのだ。
「人は幸せなのだから」
「そしてその幸せを確信出来ればですね」
「熱の剣士は」
 二人も確かな目の光を放っている智子に応える形で言った、二人共無意識のうちにその身体が前に出ている。
「必ずですね」
「戦いから降りますね」
「願うものは既に手に入れている場合もあるわ」
「あの人の様にですね」
「まさに」
「それに気付くか気付かないかよ」
 それだけの違いだというのだ。
「まさにね」
「それではですね」
「あの人は」
「仕掛けるわ、ではね」
 早速だった、智子は二人に告げた。
「一人が彼の家族のところに、そしてね」
「もう一人がですね」
「熱の剣士のところにですね」
「行くのよ、そうしてね」
 智子は話をしていく、またしても策を打ったのだ。しかしその策は汚いものではなく実に綺麗なものだった。
 三人の女神達はこう話した、そして次の日だった。
 上城は樹里と共に登校していた、その時に聡美に会いこう言われた。
「今日はお姉様とアルテミス女神はいないので」
「あっ、そうなんですか」
「今日はですか」
「そのことはご了承下さい」
 微笑んでの言葉だった、二人に対して。
「そういうことで」
「わかりました、そうですか」
「今日はですか」
「いるのは私だけです」
 聡美はここでこうも言った。
「この学園にいるのは」
「まさかと思いますけれど」
 上城は聡美の言葉から察して彼女に問うた。
「戦いの為に」
「その通りです」
 聡美は嘘を言えない、だからその問いに正直に答えた。
「また一人の方に降りてもらう為に」
「そうですか、やっぱり」
「こうして一つずつ手を打っていきまして」
「そうしてですね」
「この戦いを終わらせます」
 そうするというのだ。
「全てはその為です」
「だからですね」
「ここで手を打って」
 上城だけでなく樹里にも話す。
「そして戦い自体を終わらせます」
「じゃあ僕も」
「貴方もですね」
「戦いがある時に」
 その時のことを念頭に置いてだ、上城も言う。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ