暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
仕組まれたコロシアイ
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嗤い。

「よォ、お互い災難だったなァ。誰が仕組んだかは知らねェが、ったく。回りくどい事をするぜ」

「………………………?」

何だ、何の話だ?

不審げに眉をひそめる紅衣の少年に、カッカッカと笑いかけて男は口を開く。

「何でもねェよ。さァ、殺り合おうぜェ。それが俺達の、この茶番劇の脇役(キャラ)の役割なんだからよォ…………!」

ゆらり、とコートの下から突き出た両手は何かを持っていた。

材質は、得体の知れない真っ黒な木材。おおよそ四五センチメートルほどの長さの棒の片方の端近くに、握りになるように垂直に短い棒が付けられている。

旋棍(トンファー)………」

「おォ?知ってンのか?」

ニヤニヤとした気持ちの悪い笑みを浮かべながらも、《凶獣》と呼ばれる男は意外そうな表情を浮かべた。

それに頷きかけながら、レンは乾いた唇を湿らせてから言葉を紡いだ。

「確か、棍スキルの上位派生スキルだったよね。射程(リーチ)が短いのとダメージが微妙っていうことで、使ってる人なんて見た事ないけどね」

「かっかっか、まァそーだわなァ。だけどよォ、コイツだって長所ぐれェはあるんだぜ?例えば――――」

ヴン、と。

突如としてノアの身体が、レンの視覚域内から霞むように掻き消えた。

「―――――――――ッッ!!?」

咄嗟に刃に伸ばした腕から、メギィ!!というおよそ人体から発せられる事はそうそうないであろう音が響いた。

吹き飛ばされた小柄な身体は、丘をぐるりと囲んでいる大木の巨大な幹にブチ当たった。仮想の肺の中にあった空気が、全て大気の中に引きずり出される。

「例えば、極端な軽量を起因とするイレギュラーな動き、とかなァ」

ニィ、と嗤う獣に、しかしレンは一言も返すことができなかった。

咳き込みながら、揺れに揺れた内臓の位置を確かめる。横隔膜が変な風に震えたのか、嗚咽のようなしゃっくりが喉元から漏れ出でた。

「……んなコトできるのは、おじさんくらいでしょ」

「お前ェはできると思うぜェ?冗談抜きで。さっきの一撃ァお前ェの首を抉り取ろうとしたんだけどよ、まさか短剣抜くのが間に合わないからって、腕で防御するとは思わなかった」

実際はただ単に短刀を抜く途中の動作が、偶然トンファーの攻撃線上に重なっただけなのだが、まぁわざわざ否定するのもバカらしい。

()ッ………!」

立ち上がろうとして地面に手を付くと、その腕から鈍い痛みが伝わってきた。だが、幸いにも『骨折』のバッドステータスには至ってないようだ。

「しかも、折れてすらないとか。プライド傷付けられたぜ、俺ァよォ」

かっはっは、と嗤うノア。

「それに、ガッカリもした。思ってたより《堕ちて》ね
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