暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
仕組まれたコロシアイ
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ないと叫ぶ心があった。

見たくないと泣きわめく精神がいた。

しかし彼らは振り返る。

ナニカに引きずられるように。

ナニカに導かれるように。

振り返る。

そこには――――










瞳を真紅の色に染め上げた《冥王》は、狼ヶ丘に《入室》した。

だだっ広い丘の中央には、路地裏にたむろしているチンピラのような連中が五十人規模いた。とくに音を立てずに歩いていたのにも関わらず、全員の眼光がこちらを向いていた。さすがはラフコフと並び立つと名高いドラグラと言った所か。

―――リータねーちゃんは………どこだ?

軽く見渡すが、どこにもそれらしき人影は見えない。

だいたい、あの笑い上戸でお喋りな女が自分を見て黙っている可能性のほうが低いような気がする。

ということは、推測できる可能性は良い方と悪い方の二つが出てくる。

良い方は、単純にリータがこの場にいないという可能性。どこか別の、奴らのアジトにでも軟禁されているということだ。そうする理由は、信じられない事だが彼女を殺さずに開放したいと彼らが望んでいるということが可能性として考えられる。

悪い方の可能性は――――正直言ってこちらのほうがありえる話だ。

単純に、もう殺しているという可能性。

そもそも彼ら、【狂った幸運(ドラッグ・ラック)】は殺人者の集団である。そこに正当性や正義、善心などといったフザけたものを見出す事はできない。殺人を犯してこその殺人ギルドだ。

目の前に持ってきた獲物をみすみす逃がすとは容易に考えがたい。解体して骨までしゃぶったと言われても違和感はないかもしれない。まぁ、SAOでの人体を構成しているのはポリゴンだけなのだが。

それでも少年は丘の中を見渡した。たった一筋の希望にすがって。

しかし、見えるのはムサい男どものカラフリーな頭だけだ。その中にあの、綺麗なブルーの長髪は見出せない。

きょろきょろしているレンの視界の隅で、集団の中からゆらりと立ち上がる影があった。

すらりとした男だった。虎の生皮をそのまま加工したようなファーコートをぞんざいに羽織り、アゴには無精ひげ、肩ほどまで伸びている髪はボサボサという、チンピラというよりはどっかの失業者みたな格好だった。

しかしレンは見る。

男の眼を見る。

その眼光は、献ぜられている二つ名に恥じない眼光を宿し、全身から醸し出すオーラはピリピリとした痛みを持って少年の全身に襲い掛かる。

「凶獣………ノア」

軋る歯の間から漏れた言葉は、自分でも驚くほどに殺気立っていた。

遥か彼方に立つ男の口許が、ニィと横に裂けたように広がる。浮かぶのは、単純な愉悦の笑み。この状況が面白くて堪らないという、狂気の
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