第百二話 幻影と現実
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間を稼いで俺らを落とす側じゃなくて、俺らが時間を稼ぐ側――――テメエはアスランの奴を見逃さないために一秒でも早く俺らを落とすべきだったんだよ」
まさにどんでん返し。たった今、戦略的な優位が崩れ去ったのだ。状況はこれで五分――――いや、ネオ・ジェネシスを破壊されたことによる部隊の動揺も考えれば若干不利だと言っていいだろう。
『なるほど、やってくれた。これは認めざる得ないな、私の敗北だという事を。しかし、戦略的にはまだ終わっていない。この戦局を覆す為に相応の被害を覚悟せねばならないだろうが、最後に勝つのはこの私だよ』
されど議長の目に諦めなどありはしない。寧ろ笑みを深めながら勝つために行動を開始する。
◇
メサイアから一つの光が射された――――だが、それを認識したという事は死を迎えたわけではないという事の証明でもあった。
『え……何故だ?』
この状況で最も動揺したのは当然、勝利を確信していたクラウだ。光が射された――――それは単純にネオ・ジェネシスが発射されたのではなく、爆発したのだ。何が起こったのか、この場にいる誰もその明確な答えを探すことは出来ない。
だが、それはチャンスであり、ほんの僅かに芽生えた逆転の光でもあった。
「今だ!!」
デスティニーの残った一本のビームブーメランが投げられる。動揺しつつもクラウは咄嗟に機体を動かして攻撃を躱した。だが、デスティニーがゲルググの懐にまで入り込み、パルマフィオキーナを放つ。
意外なことに、デスティニーより正確な動作が出来るゲルググにも関わらず、クラウはその追撃を躱すことが出来ずにパルマフィオキーナはシールドを破壊した。
『ツゥ……!馬鹿な!?』
AIの補助と神経を機械につなぐことによる思考と操縦を直結――――それは一見すれば機体の操縦をより人間らしく、より早く動かすことの出来る最上の操縦方法に思える。
しかし、思考を直接操縦に反映させることは決して利点のみではない。動揺も、焦りも、恐怖すらも機体に影響を及ぼすのだ。動揺が機体の動きを鈍らせた。操縦桿を握って動かしていたならば、本能が、反復した動作の経験が、そして何より本能と一重に存在する理性が機体を動かす。
機械と接続した前者は人として機敏な動きをし過ぎ、操縦桿を握る後者は機械的すぎるという事だろう。そして、その前者は感情に影響が及ぼされやすい分、斑が現れやすく、動揺したことによってそれが欠点として反映されてしまったという事だ。
『だが、まだ!?』
それでもクラウのゲルググはシールドを失っただけだ。クラウはそう自分に言い聞かせるように判断して反撃に移ろうとする。しかし、その思考は逆に彼が焦りを掻き消せていない証明だった。アラートが鳴り響き、後ろに注意するよ
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