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初音島の剣闘士
◆2 こたつの上の決闘 前編
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 このさくらという少女(?)の話によれば、ここは一年中桜が満開な初音島だということ。
その中でも特に大きい桜の木の下で俺は倒れていたらしい。それを偶然見つけたのがさくらだ。
この芳乃さくらがまた謎だ。風見学園という中高一貫学校の校長だと言いはる。
さもホントのように振る舞ってくるが、その容姿から怪しさ満点。
これで親だと言いはる辺り、呆れるのを通り越してむしろ笑い話だ。

 だがこれが全て本当のことだということを聞くのはこの後だった。

「じゃーん!これがボクのお家!」

「日本の屋敷見てぇな風貌だな。隣の家は思っきし洋風だっていうのに。
大丈夫か、この家?倒壊とかしないだろうな?」

「チッチッチ、日本の技術力は日々進歩してるんだよ。
改修を重ねれば何十年だって住めるんだから!」

 外から見ると2階建てのいかにも和風っていう家だ。
家は石の囲いで囲われており、小さな門みたいなのをくぐると玄関だ。
手慣れた手つきで扉を開ける。障子みたいなタイプのあれだ。

「たっだいまー!義之くーん!!」

 学校から帰ってきた小学生のごとく自分の帰宅を主張する。
俺はといえば、和風の家なんて生まれて初めてくぐるし、なにせ他の奴の家に行くことなんざ生前以来初めてだ。
ちょっと緊張している。

「おかえりなさい、さくらさん。…ってそちらの方は?」

 出てきたのは10代半ばの青年と言ったところか。
顔つきは優しそうだが、俺に向けてる目線は明らかに警戒している。
体つきはなかなかがっしりしている。喧嘩慣れしている身体だ。
威嚇を続ける青年と俺の間にさくらが割って入る。

「ストップストーップ!なんでそんなに警戒してるのさ。アリトくんはボクのお客さんで、これから居候するんだからさ!」

「え?ちょ、ちょっと何言ってるんですかさくらさん!お客さんなのは分かりましたが、居候って…」

「アリトだ!よろしくな!」とりあえずさくらに合わせておくことにした。

「え、あ。桜内義之です。じゃなくて!!」

「ちょっとワケありの子だからボクが預かることになったんだけど、いいでしょ?部屋も余ってることだし」

 明らかに動揺していたヨシユキだったが、
ワケありの子という言葉を聞くと「仕方ないですね…」とつぶやくと俺を家にあげてくれた。
顔つきの通り優しそうだが、流されやすいタイプなんだろうなとなんとなく思った。



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「つまり俺と同じく桜の下にいたんですね」

「そういうこと!ボクが見つけなかったらきっと凍え死んでたよ」

 ケラケラ笑う金髪少女(?)はさておき、事情はさっき話した。
案外素直に聞いてくれた。こいつ
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