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八条学園怪異譚
第五十六話 鼠の穴その十四
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「というか地下迷宮はこの学園全体の地下全体に及んでるから」
「この馬鹿でかい学園のなの」
「全部になの」
「そう、全部だから」
 そこまで及んでるからだというのだ。
「全部歩いて確かめるのは大変だよ」
「わかるわ、この学校本当に広いから」
「その分の大きさとなるとね」
 二人も納得出来た。
「相当なものね」
「まさにラビリンスよね」
「皆あそこにもよく入るけれどね」
 その地下迷宮にもだというのだ、妖怪や幽霊達はよく出入りするというのだ。
「博士もね」
「博士の研究室から行けるから」
「だからなの」
「そう、あの人もよく出入りしているよ。本を取りに行く以外の目的でもね」
「じゃあ研究室に行く時は」
「博士に案内してもらうことになるのかしら」
 二人は鉄鼠の話を聞いてこう考えた。
「何かそう思うと最後が近付いてきたって思えるわ」
「博士が案内役だと」
「博士は特別だからね」
 この学園の中でもだというのだ。
「あの人はわし等皆の親友だから」
「親友というか一緒に思えるけれど」
「仙人さんじゃないかって思うし」
 つまり不死になっているのではないかというのだ。
「研究室にはいつも妖怪さん達が集まってるし」
「そういうのを見ていたら」
「まあね、博士は実際百五十歳は絶対に超えてるからね」
 妖怪の断言である、人間よりも遥かに長生きの。
「二百歳位だと思うけれど、実際は」
「普通の人が二百歳なんて無理だしね」
「それこそそこまで生きようと思えば」
 二人も二百歳と聞いて言う。
「仙人さんよね」
「そうなるわよね」
「実際に丹薬も飲んでるからね」
 仙人が不死になる為に飲むというその霊薬もだ、尚唐代まではその丹薬の中に水銀等有害な物質を入れていてそれで死んだ者も多い。秦の始皇帝も唐の太宗もそうしたものを飲んで死んでしまったと言われている。
「だからあの人はね」
「もうなのね」
「仙人なのね」
「そうだと思うよ」
 実際にそうなっているというのだ。
「まああのままずっと生きるよ」
「ううん、凄い人ね」
「仙人が実在しているなんて」
「あの人他にも錬金術とか魔術とか陰陽道とか一杯知ってるからね」
 そうしたものを全て学問として学んでいるのだ、それが博士なのだ。
「あの人は特別だよ」
「それでその博士と」
「次は」
「そうなるね、じゃあ今はね」
「飲むのね」
「そして食べるのね」
「さあさあ飲んで食べて」 
 鉄鼠自ら瓢箪を出してきた。
「今はね」
「ええ、それじゃあね」
「今はね」
 二人も鉄鼠の言葉に頷く、そうしてだった。
 愛実と聖花は鼠や兎、リス達と共に飲み食べた。この夜も楽しく過ごせたのだった。


第五十六話   完


   
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