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久遠の神話
第八十八話 強くなる水その十
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「しかも自分はそうしなかったんだ」
「丸坊主にしなかったのね」
「そうだったんだ」
 こう話すのだった、樹里に。
「自分はね」
「つくづく最低な人だったのね」
「だから練習でも動きが悪いとね」
「負けるからなのね」
「自分の部活の成績がよかったら自分の得点になるから」
 だから生徒達を厳しく指導、実際は虐待を行っていたのだ。こんなことが一般社会で通じる筈がないことは言うまでもない。
「動きが悪い生徒は虐待して切り捨てていたんだ」
「そんな先生学校にいたら駄目よね」
「そんなの剣道じゃないよ」
「暴力よね」
「それでしかないよ」
 間違ってもだ、活人剣ではないというのだ。
「僕はそんな人になりたくないし」
「暴力もよね」
「それは剣道じゃないから」
 断じてだというのだ。
「ヤクザ屋さんと一緒じゃない」
「その加藤さんよりずっと酷いわよね」
「加藤さんは戦いたいだけだから」
 暴力は振るわない、そこが大きく違うというのだ。
「人間的には卑しくない人だよ」
「そうした先生とは違って」
 一般社会では通用しない、生きていられない様なならず者でも大手を振って歩ける、教師の世界は実に素晴らしい。ヤクザ者でも普通に尊敬される社会なぞヤクザ者の社会でも有り得ない。ヤクザ者は自分達を尊敬される人間ではないとわかっているからだ。
「ならないよ」
「そして加藤さんも」
「止めるよ、勝って」
 戦いにだ。
「そうするから」
「そうね、じゃあね」
「まだ戦うよ」
 怪物達とだというのだ。
「僕はね」
「そうして強くなるのね」
「今度はさらに強い怪物が出るけれど」
「どんな怪物なのかしら」
「ラドンかも知れないよ」
「ラドンっていうと」
 どういった怪物かだ、樹里は名前を聞いて答えた。
「頭が百個ある巨大なドラゴンよね」
「そう、西の果てにある黄金の林檎を守っているね」
 それがラドンだというのだ。
「その怪物だよ」
「強いわよね」
「洒落にならない位にね」
 その姿から容易に想像出来ることだった、このことは。
「強いよ」
「そうよね」
「これまで色々な怪物と闘ってきたけれど」 
 そのラドンはだというのだ。
「さらに強いだろうね」
「けれどよね」
「勝つよ、僕は」
 そのラドンにだというのだ。
「そしてその後にも出て来る怪物にもね」
「ラドンで終わりじゃないわよね」
「もっと強いね」
 そうした怪物とだ、さらに戦うというのだ。
「出してくるよ、スフィンクスさんが」
「ええと、ラドンも相当だと思うけれど」
 まさに神にも匹敵する、何しろ神が生み出した怪物の子だ。つまり姿形が違うだけで力は神と同じなのだ。
「まだ強い怪物がいるのね」
「その親だよ」
「親、
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