第百一話 死を求む愚者
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断したら引き下がる。
『何を……一体何を言っているんだ!』
だが、彼が先程から言っている言葉の意味は分からない。運命だとか、死ぬためだとか――――彼の考えは最早世間一般からしてみれば常軌を逸している異常者でしかない。そして、彼は破綻者であることは否定しようのない事実だった。
ビームブーメランを左手に持っていたビームライフルで撃ち抜く。そのままビームライフルの銃口をずらしてショーンのゲルググJG型のコックピットめがけて放つ。それはショーンが回避することでぎりぎりコックピットに当たらなかったものの致命傷だった。
『ショーン!』
『機体の回収を、早く!!』
味方機の一機がミネルバにショーンの機体を回収する。それにすら追撃を仕掛けようとクラウがビームライフルを構えるが、流石にそれをさせるわけにはいかないとキラがビームライフルを連結させて攻撃した。
『わけ分からないこと言って……仲間まで躊躇いなく討とうとして……アンタは、アンタはそうまでして死にたいなんていうのかよ!!』
「分からないか。当然だろうさ……だが、目指すべきことは互いに単純だ。君らは俺を殺せばいい。俺は君らを、世界の運命を崩せばいい」
言うは易く行うは難し――――シン達では今のクラウを落とすには荷が重い。機体の性能差があり過ぎるのだ。そして、それを突破できる可能性を持っているの機体は、理論上はヴォワチュール・リュミエールによって無限加速を行えるストライクフリーダムや、クラウが自らこの世界で再現可能な技術をもって最高の機体に一度は仕上げて見せたデスティニーの二機のみである。
『何が狙いなんだ!』
キラがクラウの時間稼ぎによって何を狙っているのかという事を疑問に思う。自分自身が足止めに動いているという事は、外部からの変化を待っているという事だ。何を待っているのか?どうして待つなどという迂遠な手段を取っているのか?
今のクラウの実力であれば一機で戦局を覆す事とて不可能ではないはずだ。
「言った筈さ、死を求めているんだと――――これはその為の準備なんだよ」
彼の応える言葉は変わらない。クラウは本質的な死を求めて続けているのだ。どうすればその死を得ることが出来るのか?仮説ならばいくらでも立てられるが、それを証明することは実際に死を得るまで分かることは出来ない。
だから確かめるために繰り返す。繰り返す、繰り返し続ける――――だが、未だにその成果は出ない。歴史通りに舞台を進めれば死を得られるかもしれないと試し、自身が動いて歴史を変えようとすれば変わるかもしれないと戦場で戦い確かめ、そして過去十五回に至り成果を得ぬまま彼は新たな人生となる十六回目を迎えてしまった。
「苦しんだ、理解に及ばない死の遠さに……感情を抑制し続けたからこそ、垣間見
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