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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 03 「騎士達と少年」
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ここまでよく持ちこたえていると言うべきだ。このまま続ければ、間違いなく私が勝利を収めるが……

「なあ……もういいんじゃねぇか?」

 衣服を引っ張って注意を引いたのはヴィータだった。彼女の言おうとしていることは、夜月は我らに手を貸してはくれないが、主を助けることには協力してくれる。だからこれ以上戦うな、といったところだろう。

「……確かに主を救う道は他にもあるのかもしれない」
「じゃあ……!」
「だが、あいつの提案を受け入れるということは好きにさせるということだ。いつ裏切るか分からない、という不安を常に抱えておくのは得策ではない」
「――ッ。シャマルにザフィーラ、お前らはどう思ってんだよ!」
「……ヴィータちゃんの気持ちも分かるし、ショウくんのことを信じてもいいと思う自分もいるわ。でもね……」
「このようなときの判断は将に任せるのが妥当だろう」
「……つまり、シグナムに信じてもらうしかないってことだな」

 夜月は言い終わるの同時に剣を鞘に納めた。そのまま無防備にこちらのほうへ近づいてくる。

「……私が斬らないとでも思っているのか?」
「……ああ。斬る意思があるのなら、そんなことを言わずに斬っているはずだ」
「先ほど斬りかかっていた相手に対して甘い考えを抱くものだな」
「確かにな。だけど、シグナムが本気ならとっくに俺はやられてるはずだ。シグナムの中にある甘さを、俺は信じるよ」
「ふっ……本当に甘い奴だ!」

 私は本気で剣を振るった。宙に何かが舞い散る。
 後ろの方から悲鳴にも聞こえるような声がした気がしたが、それ以降は沈黙が続く。夜月もぴくりとも動く気配はない。
 髪が切れるほど目の前を剣が通過したというのに、全く動じないとはな。こいつが私の甘さを信じきったということか。ならば、私もこいつの主への思いを信じてみることにしよう。……不安は消えていないが、安心している自分がいるな。自分が思っていた以上に甘く……人らしくなっていたのだな。

「いいだろう。お前はお前の好きにすればいい。だが、主を売るような真似をすれば……」
「分かってるさ。あいつを売るくらいなら、そっちと一緒に魔力を集める道を選ぶ」
「ふ……我らはある意味共犯だ。繋がりがバレないためにここでの出来事のデータは消去しておけ」
「すでにやってるよ。今日のことがバレたら俺が大変な目に遭うからって」
「主思いのデバイスだな……名前は何と言う?」
「ファントムブラスター。普段はファラって呼んで……」

 会話の途中で夜月の身体がふらりと揺れた。反射的に受け止めた際に、主はやてとほとんど変わらない小さな身体をしていると実感した。私達との関係を隠し、主の治療法を探す。場合によっては、戦場でまた顔を会わせることになるかもしれない。そうなれば
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