暁 〜小説投稿サイト〜
問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
Mission3・A ~Community of No name~
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よね?」
「うん」
「お分かりいただけて何よりだ」

 ――簡単なことだ。自分と同じで。

「そして私、久遠飛鳥は――裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ」

 ――全てが思い通りになる人生。そんなもの、死んでるのと同じだ。

「それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやるなどと慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったのかしら」

 ――『つまらない』。そんなものは何もかもが『つまらない』。それならば……

「だとしたら、自身の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、このエセ紳士」

 ――こっちの方が、何百倍も、面白い。


 ピシャリとそう言い切られたガスパーは、もはや激昂などという言葉では言い切れない程に憤っていた。
 怒りという怒りが彼の心をすべて支配し、この場で彼女をズタズタに引き裂いてやりたい衝動にかられる。
 だが、それはできない。それどころか、指一本たりとも動かすことができない。
 自分の身体の自由は、すべて彼女の言葉で奪われていたのだから。

「さて、私の話はまだ終わっていないわ。あなたからはまだまだ聞き出さなければならないことがあるのだもの」

 そこで飛鳥は話を切り替える。
 さっきから彼女は、ガスパーの話を聞いているうちで妙に引っかかっていることがあった。
 特に自分たちに関係があるということでもないのだが、この際だから訊いておこう。
 そう思って、とりあえず彼女はガスパーを座らせるべく命令を下そうとしたが……


 ドガッ! と。

「ほら、お嬢ちゃんが質問しようとしてるぜ?」

 それよりも早く、ダンテはガスパーが立ち上がることで倒れた椅子を蹴り飛ばし、

「紳士だろ。話を聞くなら……」

 きっちりと飛鳥の目の前にその椅子を立たせると、

「キッチリ座れ」

 ズガン!! と。
 『完全に停止していたはずのガスパー』を、無理やりにそこへと座り込ませた。
 椅子がへし折れてしまいそうなほどの勢いでガスパーは腰を据え、飛鳥と対面する。

(うそっ!?)

 ジンと耀は、一連のダンテのパフォーマンスに呆気にとられる。
飛鳥に至ってはあやうく声を出してしまいそうになった。
 しかしそれはパフォーマンスではなく、『ガスパーを力ずくで座らせた』ことが、である。
 彼女はガスパーに『止まれ』と命令したのである。それはただ単純に解釈すれば、『動くことをやめろ』という表面的な意味だけに思えるが、実はそれだけではない。
 『何があってもその姿勢のままでいろ』、つまり()()()()身体を動かされようとも、ガスパーは一切動くはずが
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