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東方攻勢録
第四部
第一話
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たかった妹紅は、イライラしながらも少女に近寄って話をきこうとする。
 しかし妹紅はなぜか少女まであと二・三歩と言ったところで足をとめてしまった。よく見れば少女の背後に木陰で黒くなった物体が立っている。少女はそれに気付いている様子はなく、こっちを見ながらキョトンとしていた。
 一瞬罠かと思ったがその可能性はどうも薄い。微かにその物体から殺気のようなものを感じ取っていた。
「おいそこどけろ!!」
 妹紅は手をのばし少女を無理やりこっちへ引き寄せようとする。だがさっき足を止めてしまったせいで確実に出遅れいてた。
 謎の物体は右手を思いっきり振りかぶると、手を突き出そうとしている。標的は確実に目の前の女の子だ。
「えっ……!?」
 女の子が訳も分からず聞き返そうとした瞬間、肉体が裂ける生々しい音が辺りに響いた。少女の胸には赤く染まった大きな手が突き出ており、そこから赤い液体が吹き出るように出ている。コースからして完全に心臓狙い。最悪なことに寸分足りとも外れておらず、心臓はもう機能していないだろう。
 少女は変なうめき声を数秒間出し続けると、がくがくと体中を震わせてその場に倒れた。足元には彼女の血液が生々しくひろがってる。もう……動くことはないだろう。
「へへっ……おいしそうな人間の少女が二人……」
 背後に立っていた物体は木陰から出てきてその姿を現した。その容姿はさっき丸焦げにした妖怪とほとんど同じで、特徴的にかわっているわけでもなさそうだ。しかしあきらかに妹紅を獲物として見ており、殺気を抑えるつもりはなさそうだった。
「まってなお嬢ちゃん……すぐに友達のもとに連れて行ってやるからなぁ?」
 妖怪はさっきと同じように右手を振りかぶると、妹紅の胴体めがけて突き出そうとする。しかし妹紅は攻撃を避けようとはせず、足元に倒れていた動かない少女をただじっと見つめていた。
 数秒後さっきと同じように肉体が裂ける音が響き渡り、妹紅の胸が手で貫かれた。さっきと同様心臓狙いで外れてはいない。そして彼女もピクリとも動かなくなってその場に倒れた。
「へへっ人間の子どもなんてちょろいもんだぜ。さてと……」
 妖怪はまず足元に倒れていた浴衣の少女をつかみあげると、マジマジと見つめながら顔をにやけさせていた。
「どうやって調理させてやろうかなぁ? この前は生で食ったし、今回は焼いて食ったって――」
「おい」
「……へっ?」
 妖怪は声のした方を見た瞬間、全身から力が抜けていく感覚に襲われた。あまりに衝撃的だったのか、掴んでいた少女を思わず手放して目を丸くしている。
 そこにいたのはさっき心臓を貫いて殺したはずの妹紅の姿だった。
「お前……なんで……!!」
 妹紅の胸を貫いた際にできた空洞は、まるで何もなかったかのようにきれいさっぱりなくなっていた。さ
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