第六章
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「向日葵の種だったんだ」
「このことは知ってるわよね」
「うん、そういえばね」
「向日葵はただお花が咲くだけじゃないのよ」
「種も一杯採れてね」
「これ食べると美味しいのよ」
ターニャはゲンナジーに満面の笑みで話す。
「凄くね」
「そうだよね」
「これあげるから」
その向日葵の種をだというのだ。
「食べてね」
「うん、向日葵の種だね」
ここでだ、ゲンナジーはふと思った。それでこう言うのだった。
「そうだね、ずっと考えてたけれど」
「ずっとって?」
「ジャガイモとか野菜の他に何を作ろうかって考えていたんだよね」
ゲンナジーはターニャにもこのことを話した。
「決まったよ」
「向日葵作ってみるの」
「種もあるし」
それにだった。
「綺麗だしね」
「咲くとね」
「尚且つその種も美味しいから」
「だからなのね」
「何よりも我が国の国花だよ」
このことも大きかった、他ならぬ自分達の国の花であるからだというのだ。
「それならね」
「そうなのね。それじゃあ」
「うん、向日葵を作るよ」
そうするというのだ。
「頑張ってね」
「じゃあ向日葵が出来たらね」
ゲンナジーのそれがだとだ、ターニャは彼を見上げて笑顔で告げた。
「一緒にお祝いしようね」
「うん、その時にね」
こうしてゲンナジーは向日葵を作ることにした、両親は種を撒く彼を見てこう言った。
「そうか、向日葵にしたのか」
「それに決めたのね」
「いや、花を植えるとはな」
「中々いいじゃない」
「そうだよね、お花があるとそれだけで華やかだし」
それにだとだ、ゲンナジーも両親に笑顔で答える。
「しかも向日葵はロシアの国花で」
「綺麗だしな、黄色くて大きくて」
「しかも種は食べられるし」
両親はこう息子に返した。
「いい花だよ」
「嫌いな人はいないわよね」
「ターニャちゃんに教えてもらったんだ」
年下だからちゃん付けである。
「だからこれを植えて」
「それでか」
「家で新しく育てるものにするのね」
「そうするよ」
まさにだというのだ。
「それじゃあね」
「ああ、頑張れ」
「そっちもね」
二人は笑顔で我が子の背中をその言葉で押した、そうして。
ゲンナジーはジャガイモ等家で育てている野菜や畑の仕事をしながら向日葵の世話をした、そうするとだった。
向日葵達は季節と共に育っていく、ターニャが育てているそれの隣で同じ様に。
そのお花を二人で見てだ、ゲンナジーは笑顔で言った。
「いいね、見る度にね」
「育っていってるでしょ」
「向日葵は本当に成長が早いね」
「だから余計にいいのよ」
育てている方がその成長をはっきりと認識出来るからだというのだ。
「向日葵はね」
「そうだ
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