第三章
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「それは何度もあんたに事実も出して見せているだろ!」
「あんた一年に何度その事実見てる筈よ」
近もこう言う。
「自衛隊のこともね」
「そもそもあんたも地震のこと見ただろ」
津上は今度はこの話だった。
「阪神でも東北でも」
「ええ、見たわよ」
鼻っ柱だけは強い交田もこのことは認める。
「ちゃんとね」
「じゃあ自衛隊の人達の頑張りは見ただろ」
「あんなのボランティアでも出来るわよ」
この言葉にだ、誰もが呆れた、交田の腕を組んでふん、とした感じの言葉に。
津上も近も他のコメンテーター達もだ、視聴者達も。
それでだ、ネットで瞬時に書き込みが殺到した。その書き込みはというと。
『交田アホ過ぎ』
『あれは自衛隊にしか出来ないだろ』
『こいつ本当に自衛隊が嫌いなんだな』
『何処まで自衛隊を否定するんだよ』
『自衛隊じゃないとあそこまでしてくれなかったよ』
『災害こそが国家の危機だろ』
『こんな何もわかっていない連中が学者なのかよ』
誰もが呆れてしまった、そして津上もまた。
呆れ果てた顔でだ、こう交田に言った。
「あのな、あんたな」
「何よ」
「あんた何を言ったんだよ、今」
こう言ったのだった、交田に唖然とした顔で。
「災害こそが国家の危機だろうに」
「それはわかってるわよ」
「あれだけのことがボランティアで出来る筈ないだろ」
「出来るわよ」
『出来るか、馬鹿』
また書き込みが来た。
『とっとと北朝鮮に行け』
『学者って馬鹿でも出来るんだな』
『これで金貰ってるっていい商売だな』
『どういう商売なんだよ』
書き込みが殺到した、しかし。
交田はまだ言う、その言うことは。
「そもそも自衛隊なんてね、何考えてるかわからないわよ」
「何を考えてるっていうんだ?」
「国民に銃を向けるかわからないっていうのよ」
「それだったら災害であんな動きをするか」
津上はまだ言うのだった。
「違うか」
「だからボランティアでもね」
「出来るものか、じゃあスウェーデン軍なら出来るのか」
「当然よ、あの国の軍隊ならね」
出来ると言ってだ、そしてだった。
交田だけは主張した、そうしてだった。
あくまで主張し続ける、だがもう彼女の意見は誰も聞かなかった。
それに対して自衛隊はどうか、彼等はというと。
災害救助の度に駆けつけて困っている人達を救う、そうしているからだった。
誰もが自衛隊を頼りにしていた、明るい顔だった。
津上はその彼等にこそ明るい顔で言うのだった。
「頑張って下さい」
「はい、頑張ります」
「やらせてもらいます」
「私達が国民の皆さんを守ります」
「お任せ下さい」
自衛隊の人達も津上に応える、そして。
交田の言葉をよそに頑張る
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