第一章
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SAND BEIGE -砂漠へ-
女友達が私に言った、それも驚いた顔で。
「そんなところに行くの?」
「ええ」
私は虚ろな声で彼女に答えた。今手にしているカクテルのグラスも目に入っていない、ただ見えているだけだ。
「そうするわ」
「何でそんな場所に」
「少し思うところがあって」
だからだと、私は声も虚ろにさせてまた答えた。
「それでなのよ」
「あのこと?」
私を心配する顔で問うてきた、二人用の席の向かい側に座る私を見て。
「それでなの?」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ、私も答えた。実は私は失恋した、長い間共にいた相手に別れを告げられて去られたのだ。
それでだ、そうすると決めたのだ。
「そうするわ」
「心を癒す旅行ね。けれど」
「エジプトはないっていうのね」
「何でエジプトなの?」
私の顔を見て心から怪訝な顔で問うてきた。
「それはどうしてなの?」
「気分でよ。深い意味はないわ」
「ないの」
「そう、一人でエジプトに行ってね」
「ピラミッドでも見るの?」
「砂漠にしようかしら」
私は特に考えることもなく答えた。
「そうしようかしら」
「砂漠ね」
「ええ、砂漠よ」
「砂漠を見てそれで心を癒すのね」
「かもね、砂漠は日本にないけれど」
鳥取とは違う、とにかく砂漠は凄い。
それでだ、こう彼女に言った。
「違うものを見るのもいいから」
「気分転換ね。とにかくね」
「心を癒してこいっていうのね」
「それからまた新しい恋を見つけて」
私を気遣ってこうも言ってくれた。
「そうしてね」
「ええ、それじゃあね」
私は彼女と話をしてそしてだった。
仕事も休みを取ってそのうえで一人でエジプトに向かった、エジプトに着くと最初に陽気な現地のガイドさんと合流した。
そのガイドさんは口髭の人懐っこい顔で私に言って来た。
「最初は何処に行きます?」
「何処でもいいわ」
私はガイドさんに素っ気なく答えた、、実際にそう考えていたから。
「行く場所はね」
「それでしたらまずは」
「何処に行くの?」
「ケバブ食べましょう」
最初に提案してくれたのは食べ物だった。
「そこで腹ごしらえをして」
「それからなのね」
「ピラミッドかスフィンクスを観に行きましょう」
「じゃあお任せするわね」
「大体案内する場所は決まってるんですよ」
ガイドさんは屈託のない笑顔で私に話してくる。
「この国ではね」
「ピラミッドにスフィンクス?」
「遠出をしなければ」
そうした場所だというのだ。
「アレクサンドロスもありますよ」
「町自体がなのね」
「そうです、あの町のことは御存知ですね」
「アレクサンドロス大王が築いた町よね」
「は
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