新たな生活
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くご馳走を食べたりすることもできるわけだし。
そんな事を考えながら、私はリュータンさんの披露宴で出されているすき焼きを、お腹いっぱいになるまで詰め込もうと努力しているのだった。
なにか、入れるものないかしら。
清志さんにも持って帰って食べさせてあげたいのだけれど。
「エリ、食うてるか!?」
「……っ、はいっ、リュータンさん、美味しく頂いてます〜」
ちょっと食い意地のはった事を考えていた時に、リュータンさんが声をかけてきたので、思わずむせそうになってしまった。
なんとかむせずに飲み込んで、何度目かのご挨拶をする。
「こんなに立派なお式に呼んでもらえて、嬉しいです〜…」
「そうやろ、そうやろ!このご時世、こんなに豪華に披露宴開けるのも、このリュータンと、宝塚きっての演出家のわたるさんだからこそや!
なかなか食べる機会もないんやし、今日は思いっきり肉を食うていけばええ、な!」
…いつも思うんだけど、この人なんでこんなに自信があるのかしら。
自信に見合った実力を兼ね備えていないとは言わないけど、それにしたってこのナルシストぶりはいっそ見事というものよねぇ。
まぁ、今日は本当にリュータンさんの言う通りだと思ったので、
「はい、遠慮なく〜。ありがとうございます」
と、可愛らしく返してみた。
すると。
「あんたの旦那さんの清志さん?も、いずれわたるさんと同じ職場になるんやし?呼べれば良かったんやけどなぁ。まだ、正式に通達してへんさかい、呼べんかったんや、すまんかったなぁ」
なんと、リュータンさんがすまなそうに言ってくるじゃないの!!
「いえっ、おきになさらず!!まだホントに発表もされてませんし…」
そうなの。
清志さん、絵の力量を買われて、宝塚の美術部で採用されることにもなったの。
とりあえず、スターの似顔絵やポスター、大道具の絵の図案なんかを考える担当らしいけど。
「ホントに助かります。リュータンさんもお口添えくださったんでしょう、それだけでも十分なのに、これ以上何かしてくださったら、本当に何をお返しすればいいのか…」
「そんなに気にせんでええ。ウチは、エリに感心したからこそ、話を持っていったんやしな」
「え…?」
「あんたは、歌も踊りもお芝居も、まぁウチには及ばんけどまずまずやったし、トップになりたいって言う野心もあった。正直、あんたが今でも宝塚におったら、こんなにすんなりとタッチーがトップになる事はないと思うで?ファンの方も力のある方がおったしな」
惜しいことしたな、と声を掛けられたけど答えられない。
だって…、それでも私は…
「あんたが先に辞めるとは、思わんかった」
タッチーの方が辞めそうに見えたわ、と、リュータンさんは言う。
「あんたは、自分がトップになれる可能性のある事をわか
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