青春の終わり3
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晴れて宝塚の生徒になって。
タッチーやエリ、トモに出会って、音楽学校の生徒として一緒に頑張ったり、たまには喧嘩したりして。
色々あったけど、ようやっとタカラジェンヌになる事も出来た。
正直、もしかしたら頑張れないかもと思う時もたくさんあった。
2年間の間に同期の生徒はひとり、また一人と、確実に減っていったし、私だって何回「向いてない」って言われたかわからない。
長期休暇の時は必ず実家で泣きごとを言い続けた。
でも、
「まつ、一度決めた事をやりとげねぇヤツは父ちゃん許さねぇ」
「紅ちゃん、ここまで頑張れてこれたじゃない。あと少し頑張ればタカラジェンヌになれるのよ」
って、お父ちゃんに喝を入れられ、先生に励まされながら、乗り越えてきた2年間だった。
初舞台は、憧れのリュータンさんの雪組!
すごくすごく、気合を入れて臨みたかったのに、タッチーに盗み食いされ、エリには怒鳴られて、トモには見下された気がして大喧嘩してしまった。
結局リュータンさんに
「舞台の上で絆創膏つけるな!あんたら舞台なめとんのか!!」
って怒られて…
最初っから落ち込んじゃって、もう涙が出そうだったけど、同期全員で謝りに行った時、リュータンさんが
「あんたの目、かまぼこみたいやな」
と、私に「かまぼこ」ってあだ名をつけてくださって!
ホントにうれしかった。
リュータンさんは、私と初めて会った時の事、きっと覚えてないに違いない。
たくさんお客様がいるのに、その中のたった一回だけ言葉を交わしただけの私の存在なんて、覚えていられるほど印象深くはないはずだもの。
でも、あの出来事は私の宝物、それだけでいい。
これから「かまぼこ」って呼ばれながら、リュータンさんの記憶に残る後輩として、清く正しく美しいタカラジェンヌになれれば、それでいいんだ!!
そう思った。
タカラジェンヌになってからの毎日は、めまぐるしく過ぎ去った。
まだまだ駆け出しの下級生だから、毎日ほんとに忙しい!
でも、もともと体を動かす事は好きだし、きれいな洋服を着れて、美味しい食事も食べる事が出来て、なによりリュータンさん達みたいに見た目も心もきれいな人たちに囲まれる毎日は私にとっては本当に天国にいるかのようだった。
「紅はホント、悩みがなさそうねぇ」
羨ましいわ、とエリにはどこか馬鹿にするように言われたけど、それだけは
「そうよ、私幸せだもん!」
と、胸を張って言える。
エリはサルトルさんとボーボーさん(リュータンさんもそうだけど、私も横文字の人の名前は舞台以外で覚える事が出来ないタイプだ)の真似をしようと努力のしすぎなのよ。
私みたく自分に正直に生きていれば、嬉しい時はホントに楽しくなるし、悲しい時は思いっきり発散できるから、自分の内にため込み
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