青春の終わり2
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まだ、はやくっないですかぁっ…」
私は涙で言葉が上手く出てこないけど、先生はそれでも「大丈夫よ」と続けた。
「わたくしが手塩にかけるおいもちゃんですもの、きっと合格するわ。あのね、芸名は…
『紅花ほのか』
がいいと思うの」
紅花ほのか・・・
「紅花はね、花言葉は「情熱」女性の口紅にも使われているのよ。少しおしゃべりすぎるけど、正義感のあるおいもちゃんにピッタリだと思わない?」
でも、紅花は末摘花とも言うでしょう?
「源氏物語ね?よく知っているわねぇ。でもね、彼女は確かに不美人と言われているけど、その分実直で、一途に旦那さまを思っていた純真な人なの。
おいもちゃんも、タカラジェンヌの中では少し華のない印象になってしまうかもしれないけど、宝塚に一途で、純真にあり続けてほしいって思うの」
よく考えてあるでしょう、と先生はどこか得意げだ。
「ほのかはね、『ほのかに香る』なんてよく言うけど、「いつも私をどこかで香っていてください」という意味で考えたの。『紅花を、いつもどこかでほのかに香っていてくださると嬉しいです』という意味よ。タカラジェンヌの芸名は、退団まで変わることはない。だからこそ、苗字にかけて名前を考えられるのよね」
これからは、私おいもちゃんを「紅」と呼ぶわね。
おいもちゃんはもう、卒業ね。
そう言って先生は、その日から私の事を「紅」と呼びだした。
だから、私の芸名は『紅花ほのか』
たくさんのタカラジェンヌの中でも、受験する前から芸名が決まっていた生徒なんて珍しい、というかほとんどいないに違いない。
っていうか、もうこうなったらタカラジェンヌにならないと恥ずかしい!!
先生に上手く発破をかけられた形で私は猛練習をして、見事宝塚に合格することになったのだった。
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