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久遠の神話
第八十七話 スフィンクスの問い掛けその十三
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「貴方はきっとやってくれるわ」
「この戦いを終わらせることが出来ますか」
「ええ。ただ今よりも剣士として強くなることよ」
 それが大事だというのだ。
「よりね」
「剣士としてですか」
「そう、今よりも遥かに多く怪物と戦うことよ」
「そしてですか」
「強くなることよ、今よりね」
 スフィンクスは上城にもアドバイスをした、そのアドバイスは明らかに上城を気遣う、彼にとっての助言であった。
「いいわね、強くなることよ」
「そうすれば戦いを終わらせられるんですか」
「力は必要よ」
「戦いを終わらせる為に」
「何かをすることには力が必要だから」
 スフィンクスもまた力学のことから話すのだった。
「この戦いを終わらせる為にも」
「今以上にですね」
「強い力が必要よ。ではいいわね」
「はい、戦います」
 上城はスフィンクスの目を見た、その目の光は強く澄んでいる。そこには嘘と思われるものはなかった。まさにそれを見てだった。
 そのうえでだ、こうスフィンクスに答えたのだ。
「そして強くなります」
「そうなることよ、力はこの戦いにおいてはとりわけ必要だから」
 ここまで言ってだ、そしてだった。
 スフィンクスは上城を見てだ、最後に言った。
「では」
「それではですね」
「これで」
「伝えることは全て伝えたわ」
 それでだというのだ。
「私は今はこれでね」
「帰られるんですね」
「そうよ」
 上城に淡々とした言葉で告げていく。
「貴方にね」
「それじゃあ」
「貴方は誰とも闘いそして勝って」 
 それに加えてだった、スフィンクスが彼に求めることはこの二つだけではなかった。そのさらに求めることも話すのだった。
「その剣士を戦いから降りさせて」
「この戦いを終わらせることですね」
「そうよ、そうすることよ」
 絶対にだというのだ。
「わかったわね」
「わかりました、そのことを誓います」
 上城はその純粋さ、目と頭も備えているそれで以て答えた。
「必ず」
「死ぬことは許さないわ」
 それはというのだ。
「私はね」
「わかっています」
「それならいいわ。では強くなりなさい」
 スフィンクスはこう告げてそしてだった、その姿を消した。
 そしてそのうえでだ、上城はそこまで見届けてからだった。
 樹里に顔を向けてだ、こう言ったのだった。
「じゃあこれからは」
「これまで以上によね」
「怪物と闘ってね」 
 そうしてだというのだ。
「強くなるよ」
「そうしてよね」
「この戦いを終わらせるだけの力を身に着けるから」
「頑張ってね」 
 樹里はその上城の背中を言葉で押した、そうしてだった。
 二人の本来の世界に戻った、それは日常の世界だった。


第八十七話   完


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