第三幕その十
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「それはね」
「それじゃあですか」
「幸せは」
「そう、そのお金や学校の成績だけじゃないんだよ」
あちらの世界ではとても大事なそうしたことだけではないというのです。
「他にも一杯あるんだよ」
「それじゃあスポーツが出来てもですか?」
カルロスは自分が得意としていることから言いました。
「それも幸せでも」
「それだけが幸せじゃないんだよ」
「他にも一杯あるんですね」
「そうなんだ」
こうお話するのでした、かかしは皆にお話します。
「僕も一杯幸せを見付けてきたよ」
「かかしさんもですか」
「周りにある幸せを」
「僕は生まれてすぐにドロシーと出会ってね」
畑のかかしになってすぐにです、彼はドロシーと出会ったのです。
「木樵君とライオン君に出会えて友達が出来て楽しい旅をして」
「エメラルドの都に行ってでしたね」
恵梨香がかかしのその時のことを本人にお話します。
「そうしてでしたよね」
「そうだよ、自分の知恵に気付けて魔法使いさんに脳も貰ってね」
かかしの幸せはまだ続いたのです、それからも。
「オズマにも出会えてドロシーと再会出来て。今じゃドロシーやつぎはぎ娘とも一緒にいられるんだからね」
「幸せが一杯あるんですね」
「そうだよ、僕はとても幸せだよ」
かかしにしてもそうだというのです。
「誰にも負けない位にね」
「ううん、私も学校のお勉強が出来て運動神経もよくてお金があれば幸せですけれど」
恵梨香もあちらの世界のことから考えて言うのでした。
「けれどそれより前に健康ですし家族も優しいですしお友達も一杯いて」
「幸せだね」
「はい、それだけで」
かかしに笑顔で答えました。
「私とても幸せです」
「そういうことだよ、僕や木樵君が言っていることはね」
「幸せは周りに一杯あるんですね」
「自分の中にもね」
一杯あるというのです。
「自分を不幸だって思ったらちょっと落ち着けばいいんだ」
「それで周りを見れば」
「あと自分の中も見ればね」
そうすればだというのです。
「気付くんだよ」
「それで幸せになれるんですね」
「そういうものなんだ。僕も皆も幸せなんだよ」
自分の中にも周りにもその幸せが一杯あるからです。
「今こうして君達という新しい友達と楽しく旅も出来ているんだから」
「そのことも幸せですよね」
「よかったこと探しっていうのかな」
この言葉も出したかかしでした。
「それを探すだけで幸せになれるんだよ」
「探して見付けて」
「暗くなった時こそそうするんだ」
「幸せになれるから」
「明るくなれるからね」
かかしは明るい足取りです、その足取りはとても軽やかです。それまで洗濯をしてあったお水が今はすっかり乾いています。
「そうなるんだよ」
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