暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
ヴァイオリニスト、隷属する
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ードを取り出し、その角をなめる。
 そこには大量のギフトが記されていたが、ボクが一番目を引くギフトは、間違いなくアレだ。

「いいぜ、歌い手。テメエがもっと多くの“音楽シリーズ”を従えたそのとき、このオレ自ら狩りに行ってやる。“狂気の指揮者”、狂崎(くるいざき) (しき)様がな!!」

 彼が歩いていくのに僕以外にここにいた皆がついていったので、ボクももう立ち上がってついて行かないといけない。
 でも、名残惜しく最後にもう一度、眼下にいる彼らの姿を見ておきたい、そう思った。
 そして、やはり彼ら四人は楽しそうで、同じ“音楽シリーズ”の集まりでも、ボクらとは全く違う、“音楽シリーズ”同士の暖かい繋がりがある。

「・・・いいなぁ、あれ」

 ボクも彼らと出会えていたら、あそこには入れたのかもしれないのに・・・今でも、音楽を奏でていられた(・・・・・・・・・・)かもしれないのに・・・

「オイコラ!何してやがる、さっさと来い!」
「・・・イエス、マイマスター」

 これ以上遅くなったら何をされるのか分かったもんじゃない。
 まだみていようとする目を無理矢理に動かして、ボクは小走りで彼らの元に向かった。
 いっそあの四人の元に逃げたかったが、それは迷惑でしかない。いつか、また会えることを願って・・・



???



「なるほど、“狂気の指揮者”か・・・それは間違いないのか?」
「ええ。といっても、本人の自称なので、ギフトネームが違う可能性はあるっスけど」
「“音楽シリーズ”が効かなかった以上、向こうも“音楽シリーズ”の担い手であることは間違いないのう。そして、相手を狂わせるギフトももっておる、と」

 倉田さんが狂っていたのは、そのギフトが原因だったようだ。
 そして、僕が歌ったヒーリングミュージックによってそのギフトを無効化することが出来て、倉田さんが元に戻ったというわけだ。

「分かった。そのやからが“音楽シリーズ”を集めていることは、私から各コミュニティに伝えておこう」
「スイマセン、色々お任せしてしまって・・・」
「私が依頼したのだし、私は階層支配者。これくらいはして当然だよ」

 狂気の指揮者に対する注意報と、今回の事後処理は全て白夜叉さんに任せることになった。
 なんでも、コミュニティによっては“音楽シリーズ”のギフト保持者もいるし、いることを隠しているコミュニティもあるそうなので、伝えておく必要があるのだ。

「それでも、“音楽シリーズ”には“音楽シリーズ”をぶつけるしかない。“狂気の指揮者”について直接の対策はおんしらに一任しても良いかの?」
「はい。僕に出来る範囲で、ですけど、やらせていただきます」
「うむ。たのんだぞ。それと、今回の報酬については後日
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ