第五話、地球へ
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ぱり不思議だね」
しばらくして、フェイトからそんな呟きが漏れた。
「不思議?俺が?」
フェイトの言った意味が分からなかった。俺が不思議とは、一体どういう意味なんだろうか。
「うん。私ね、ラウルが来る前はお母さんの期待に答えなきゃってことだけに夢中になってたんだ。朝起きたらリニスが作ってくれたご飯食べて、食べ終わったら魔法の勉強して、それが終わったらリニスと魔法の訓練。日が暮れたらお風呂入ってご飯食べて寝る…ただそれだけの作業みたいな毎日が続いてた」
「……」
フェイトの独白を、俺は黙って聞いていた。この話は、フェイトの人形という意識を打ち砕くための第一歩になるかもしれない。なら、俺は俺にできることをしよう。
「本当に、毎日がつまらなくて、苦しくて、寝る前に泣いちゃってたりしたんだ」
あはは、とフェイトの自嘲気味な笑いが部屋に響く。
「でも、ラウルが来てから、そんなつまらない毎日が少しずつ変わっていったんだ。ラウルは色んなことをしてくれたよね…いつもご飯作ってくれたり、洗い物してくれたり、母さんの病気の治療もしてくれた。ラウルと過ごしていく内にね、私の世界に色がついていったんだ。明日のご飯は何かな、とか、明日はどんな修行をするんだろうとか、毎日がすごく楽しくなってたんだ。母さんも、私と普通に接してくれるようになったし……」
照れ臭そうに微笑んで、フェイトは俺のことを見た。その表情は笑っていて、けれど一筋の涙が頬を伝っていた。
「でも、私、心配なんだ…ラウルってさ、いつも弱音吐かないでなんでもやっちゃうでしょ?それが、なんか無理してるように見えてね…私、ラウルが倒れないか、とか、どっかに行っちゃわないかとか…すごく怖いんだ…」
俯いたフェイトの姿が、いつもより小さく見えた。
「あっ、ラ、ラウル?」
そんな姿を見てしまったからだろうか。俺は気づいたらフェイトのことを抱き締めていた。
「…俺は、どこにも行かないよ。ずっとフェイト達の側にいる。お前達を、ずっと傍で支え続ける。誓うよ」
「う、ん…ありがとうラウル…」
それからしばらく、俺はフェイトが泣き止むまでその小さな体を抱きしめ続けていた。
「それじゃあ、先に行ってるよ」
「取り敢えず転送に成功したら連絡を入れなさい」
フェイトが泣き止んで少しして、荷造りを終えたラウルはプレシアとフェイト、アルフの見送りで転送ポートまで来ていた。
出会った当初の冷たい態度はどこに行ったのやら、過保護なまでに心配するプレシアに苦笑いしつつラウルは頷いた。
「拠点が見つかり次第連絡をする。その際座標も送るか
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