第五話、地球へ
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うように、不安げに揺れた瞳だった。一体どうしたのだろうか。
「もしだよ?もし、アリシア姉さんの目が覚めたら、母さんは、私のことを見てくれなくなるのかな…」
それは、多分フェイトがいま一番恐れていることなのだろう。
もともと、プレシアがフェイトを作り出した理由はアリシアの代わりにするため。だがその目論見は失敗し、生まれたのはアリシアではなくフェイトだった。今では本当の家族として接しているが、怖いのだろう。自分はアリシアの代わりだったという事実が、まだフェイトの中に根強く残ってしまっている。
アリシアが目を覚ましたら、プレシアにとって自分はいらない人間になってしまうのではないか。ずっと、そう考えていたのだろう。
「一度、聞いたことがあるんだ」
「聞いたこと?」
それは、半年くらい前のこと。体調を崩したプレシアの看病をしているときに聞いたことだった。
「プレシアはな、最初からお前のことをアリシアの代わりとしてなんか見ていなかったぞ」
「え?」
目を見開いて驚くフェイト。でもそれは仕方ないだろう。なにせ、ずっと自分はアリシアの代わりだと思いつづけてきたのだから。
だが、それは全く違う。
「プレシアは最初からお前のことをフェイト・テスタロッサとして見ていた。ただ、割り切れなかったんだろうな…お前のことを娘と認めてしまったら、アリシアはどうなるのかって。ずっと自分の気持ちがわからないまま。だからプレシアは敢えてお前と距離をとった、自分の気持ちに折り合いをつけるためにな」
結果的に、その判断がフェイトを傷つけてしまっていたのだが、まったく不器用な母親だ。
俺のベッドに腰掛けたフェイトは下を向いていた。
「ずっと悩み続けて、自分がわからなくなって…それを紛らわすために研究に没頭した。けどある時思い出したそうだ」
「…なにを思い出したの?」
「アリシアとの約束だ」
アリシアが昏倒する事故が起こる前に、プレシアはアリシアと『妹を作る』と約束していたらしい。
つまり、プロジェクトF.A.T.Eはアリシアの『妹』、フェイトを作るためのものだったのだ。
「妹を作る。その約束を思い出して、プレシアは踏ん切りがついたのだろうな。お前を、アリシアの妹として受け入れることに」
「……」
俺がここに引き取られた時と今のテスタロッサ家の現状は、見違えるほどに変わっている。険悪だった親子の仲。リニスとプレシアの契約延長。プレシアの病の治療。それが、本当に良い事だったと断言することはできないが、俺は少なくとも自分のしたことには後悔していない。いや、後悔してはいけないんだ。プレシアたちの生活を変えたのは俺だ。そのことを後悔したら、プレシアたちに失礼になってしまう。
「…ラウルって、やっ
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