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久遠の神話
第八十六話 運という実力その十四
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れじゃあな」
「今日はこれでか」
「ああ、帰るな」
 そうするというのだ。
「今から大学に行くよ」
「講義があるのか」
「あまり好きな講義じゃないけれど出ないとな」
 今からはじまる講義はとだ、だがそれでもだというのだ。
「けれど出てな」
「そうしてだな」
「単位は取るさ」
 このことは忘れないというのだ。
「ちゃんとな」
「真面目と言うべきか」
「一応講義には出る主義なんだよ」
 この考えから取る行動だというのだ。
「だからな」
「今から大学に行くのか」
「そうするさ、八条大学な」
「懐かしいな、母校だ」
「へえ、先輩だったのかよ」
「そうなるな。とはいっても八条グループの人間ではないが」
 それでもだというのだ。
「あの大学が私の母校だ」
「いい大学だよ、雰囲気もいいし綺麗でな」
「設備も揃っている」
「あそこにいて不便はないさ」
 何をするにもというのだ。
「そうした意味でもいい大学だよ」
「全くだな」
「あんたにも学生時代ってあるんだな」
「当然だ」
 権藤もそれまで生きてきた、それなら当然のことである。
「私もそれなりに楽しい学生時代を過ごしてきた」
「あまりそうは見えないところもあるがね」
「私の喋り方からか」
「堅苦しいからな、どうも」
「当然だ、私は経営者だ」
「今の仕事をする様になってか」
「喋り方が変わった、責任のある立場になったからな」
 だからだというのだ。
「もっとも一人称は高校、いや中学の頃からだ」
「私だったのかよ」
「この呼び方が好きだ」
 私という一人称がというのだ。
「気品があってな」
「俺はそういう几帳面な感じの喋り方は好きじゃないんだがね」
「君はそうか」
「ああ、俺はな」
 そこは違うというのだ、中田と権藤は。
 そのことを話してだ、権藤に対してあらためて言うのだった。
「まああんたはあんただな」
「何時でもこの一人称で通している」
「そういうことなんだな」
「そうだ、では次に君と会う時はだ」
 その時はというと。権藤は中田に顔を向けて言う。
「君も剣士でなくなっていることを祈る」
「俺もそうありたいね」
「君のご家族が目を覚ましたうえでな」
「それは絶対だな」
「そうなることはな」
 こう話してだった、二人で。
 中田は今は権藤の前から去った、そのうえで今は戦う。外に出て怪物達と戦うのだった、今はまだ剣士だからこそ。


第八十六話   完


                            2013・10・23
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