女の子と猟師のおじさん
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りにも予想範囲外の行動に驚いた所為か息が荒くなる頃、目の前で何かがちらりと過ぎった。
「雪、か…」
それを追いかける前に続け様に見上げた空から降って来る小さな白い粒に誰かがぼそりと漏らす。
厚い雲が幾重にも群がり瞬く間に雪がこちらに近づいてくる。
その美しさに先程までの怒りを忘れ、思わず笑顔が溢れてくるのが自分でも解った。
最近朝夕のみに留まらず、冷え込みが厳しくなっている。
十二月の暮れには雪が降るかもしれないと言っていた兄の予感が当たった。
「うわぁ……」
お尻に付いたであろう土埃を掃うのも忘れてその場ではしゃぐ彼女をいつか見た光景と照らし合わせているのか、自然と口元に笑みが浮かぶ。
それを見た人物はそれとは対照的に表情を失くした。
「……結局、何しに来たの?」
「えっ……ああっ!?配達の途中だったの忘れてたっ!!」
「はっ?!そんなの忘れる方がどうかしてるでしょ」
「うっ……そ、そうだけど……久しぶりに会えたから…」
「……人の所為にする気?」
そっそんなんじゃないよと、慌てる様子をルヴァーナに気づかれぬようにため息を吐く。
「で」
「「で」?」
「どこに配達に行くのかって聞いているんだけど」
その勝気の物言いは今日も頗る調子が良いようだ。
届け先を伝えるとコンラッドは背を向けて歩き出した。
「あっ……ねえ、どこ行くの?」
「はあ……アンタの頭って鳥以下?」
「しっ、失礼ね!これでも記憶力は良い方よ」
「じゃ、とっとと渡すもん渡して帰れば?そんなんじゃ除夜の鐘が鳴るまで帰れないよ……ルヴァーナ」
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