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剣の丘に花は咲く 
第十一章 追憶の二重奏
幕間 庭園の管理人
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嫌な予感がして散歩のコースを変えた瞬間、元々行こうとしていた散歩コースにお母さまが魔法の練習だと特大の竜巻を放った等、子供の頃か数えるとそれこそ数え切れない程の経験があった。
 何故、そのことを―――?

 疑問が瞳に浮かんだのか、カトレアと目が合ったイリヤはその疑問に答えた。

「あなた飛び抜けて感応能力か共感能力……つまるところ『受け取る』……と言うよりも『受け入れる』能力が高いんでしょうね。外界からの力や意志を無意識の内に受け入れてしまう

ほど……ちゃんと対策を立てないと―――あなた遠からず死ぬわよ」
「―――死?」

 え? と口を軽く開けた顔で固まるカトレアを尻目に、イリヤは三分の一程中身が入ったカップの縁に指先を当てた。

「ねぇあなた。身体は何処にも異常がないのに、急に体調を崩したり、熱を出したりしたことはない?」
「……あり、ます」
「そしてそれは、あなたたちが言うところの『系統魔法』を使った後に起きるんじゃない?」
「……はい」

 強ばった口を必死に動かし、カトレアは目の前でカップの縁を指でなぞっている少女に問いかける。今まで誰もわからなかった原因を、この人は知っているのだろうかと。高名なメイジも、医者も匙を投げた原因を。何時しか諦めてしまっていたこの謎の病のことを知っているのかと。例え現在倒れる心配は低くなっているとは言え、万が一ということがある。特に今は少しでも長く感じていた幸せの中にいるのだ、最大の心配事であるこの病が正体が分かれば、根本的に治すことも可能になるかもしれない。
 逸る気持ちを抑えきれず、期待に満ちた瞳でイリヤを見る。
 声に出さずともその思いを受けとったイリヤは、カップの縁から手を離すと小さく頷いて見せた。

「思うにあなたのそれ(・・)は、魔力の過剰摂取の可能性が高いわね」
「魔力の過剰摂取、ですか?」
「そうよ。あなたの世界では、『系統魔法』を使用するのに精神力が必要よね。で、『系統魔法』を使用したら、減った精神力は時間と共に回復する。そうよね?」
「はい」

 メイジならば子供でも知っていることを説明されることに、若干の戸惑いを覚えながらも素直にカトレアは頷いた。

「で、聞くんだけど、そもそもその減った『精神力』とやらはどうやって回復しているの?」
「どう、とは?」
「つまり、体の中から生み出しているのか、外部から取り入れているのか、それともその両方なのかよ」

 顎に手を当て、記憶を探る。自分の身体のことなのに、そう言えば気にしたことはなかった。魔法を使って減った『精神力』は、一日休めば基本的に回復するのがハルケギニアのメイ

ジの常識である。常識であるからこそ、その根本的なことを意識したことがなかった。

「わたしはメイジですが、
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