第十一章 追憶の二重奏
幕間 庭園の管理人
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答が帰ってくる筈もなく。全てを言い切る前にカトレアの姿は煙のように掻き消えてしまった。
「っふぅ……危なかったぁ」
カトレアが帰ったのを感じたイリヤは、足を止めると額に浮いた汗を手で拭い小さく息を吐いた。
「暇なのが悪いのよ……ええ、そう……暇という悪魔が私に囁いてしまったの……」
腕を組み誰に言うともなく呟きながら『うんうん』と頷いたイリヤは、頬に手をやると雲一つなく晴れ渡った空を見上げる。空を見上げる目を細めると、苦笑混じりの声を漏らし、小さく肩を竦め顔を横に向ける。視線の先には満開の花が無数に咲き誇っていたが、イリヤの目はその中の一つ、いや、二つに向けられていた。
「はぁ……しかし『ルイズ』と『カトレア』ねぇ……『姉妹』か……あの二人とはある意味逆ね……」
イリヤの視線に映る二つの花。
「ふふ……早くしないと取られちゃうんじゃない? 急いだ方がいいんじゃないの?」
空を覆うように広がる淡桃と、凛と咲き誇る赤……。
「―――ねぇ……サクラ…………リン………」
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